シートベルトとともに自動車搭乗者の命綱と言えるエアバック。現在では従来からの運転席や助手席用に加え、座席サイドに装備されるサイドエアバッグやルーフライニング部に装備されるカーテンエアバッグなど、自動車内部全体への搭載が進んでいる。これにともない、技術的にもさらなる衝突時の安全性が求められている。
これを受け、パテント・リザルトは2014年2月12日、日本に出願されたエアバッグ関連技術について、特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて参入企業に関する調査結果をまとめ、レポートの販売を開始したと発表した。
この調査ではエアバッグ関連技術の特許を集計し、各個別特許の注目度を得点化する「パテントスコア」をベースとして、特許の質と量から総合的に見た評価を行った。その結果、「総合力ランキング」では、1位がAUTOLIVグループ、2位がタカタグループ、3位が豊田合成となった。
1位のAUTOLIVグループおよび2位のタカタグループは、乗員の着座位置が正規の状態に無い場合のエアバッグ開閉に関する技術が、注目度の高い特許として挙げられる。3位の豊田合成は、4位トヨタ自動車との共同出願である頭部保護用エアバッグに関する特許が高い注目度となっているという。
この分野における総合力上位5社のうち、トヨタ自動車を除いた4社が、どのような完成車メーカーと協業関係にあるかを特許の共同保有状況から調査した。AUTOLIVグループはトヨタ自動車、本田技研工業との保有が多いほか、富士重工業やHYUNDAI MOTORとの保有が見られる。タカタグループはトヨタ自動車、本田技研工業のほか、マツダ、日産自動車など、多くの完成車メーカーと協業していることが伺える。豊田合成はトヨタ自動車、ダイハツ工業といったグループ企業以外にも三菱自動車工業との保有が見られる。
自動車搭載のエアバックは、衝突した時の衝撃吸収のため、米国で海軍の技術を応用して開発された。矢野経済研究所では、2010年の世界市場は2億5774万個と推計、2017年には4億4629万個に拡大すると予測している。
しかし、シートベルトをしっかり装着していなかったり、正しい位置で作動しないと怪我をするだけでなく、死亡する例もあるなど、疑問視する声もある。このため、乗員の着座位置が正規の状態に無い場合のエアバッグ開閉に関する技術の注目度が高い結果となった。(編集担当・慶尾六郎)。