おむつやばんそうこうに装着するセンサが登場 東大らが開発

2014年02月16日 13:01

 赤ちゃんやお年寄りのおむつの状態を無線で知らせてくれる。そんなセンサが登場した。JST課題達成型基礎研究の一環として、東京大学の桜井貴康教授、染谷隆夫教授らは、有機デバイスの集積化によって、ワイヤレスで電力伝送やデータ通信が可能な柔らかい有機センサシステムを開発した。
 
 有機デバイスは、インクジェット印刷など高速処理で環境負荷の少ないプロセスで容易に製造できるため、将来の大幅な低コスト化が期待されている。今後は、ばんそうこう型のセンサやおむつへの応用など、装着感が少なく使い捨てにもできる衛生的なセンサとしてさまざまな用途への展開が期待されている。

 開発したセンサシステムは、離れたところからワイヤレスで電力供給が可能で、水分検出センサからのデータも最適な通信条件で取ることができる。同グループは、高分子フィルム上に有機半導体デバイスを集積化することによって特定の電気的な機能を有する電子回路である「有機集積回路」を作製することで、ワイヤレスで電力とデータを伝送できる柔らかい水分検出センサシートの開発に成功した。

 試作したセンサは、水分を検出すると、数Hzの信号を出力。周波数が3Hz時の消費電力は1.4μW。いずれの部品も柔らかく、システム全体としても曲げられる柔らかさを兼ね備えている。水分を電子的に検出し、使い捨てもできるため、ばんそうこうやおむつなど、柔らかく装着感なく、衛生的なセンサへ応用できる。

 今後の課題は、信頼性の向上と低消費電力化という。信頼性については、静電気保護回路有機ダイオードの材料や構造を検討することによって、さらなる高耐圧化を進めることができる。また、整流回路の有機ダイオードの駆動電圧を低減することによって、さらなる低消費電力化が可能だとしている。水分以外にも、温度や圧力などさまざまなセンサに応用することも可能。同グループでは、これらを複合化して、フレキシブルな大面積ワイヤレスセンサへの展開も視野に入れているという。

 実用化されれば、介護がずいぶん楽になるだろう。問題はコストだが、子供や高齢者、また病気を患っている家族を持つ方には朗報だろう。今後の展開に期待したい。(編集担当・慶尾六郎)