財務省が2014年2月10日に発表した「平成25年中 国際収支状況(速報)の概要」によると、2013年の日本の経常収支は、3兆3061億円で3年連続の黒字縮小となった。
貿易・サービス収支は、12兆2349億円の赤字で、前年比3兆9308億円の赤字幅拡大となった。サービス収支は赤字幅を縮小したものの、貿易収支が赤字幅を拡大したことから、貿易・サービス収支は、3年連続の赤字で1985年以降では、最大の赤字額となった。
貿易収支は10兆6399億円の赤字で、前年比4兆8258億円の赤字幅拡大となった。米国・中国向けを中心に輸出が増加したものの、原粗油や液化天然ガスを中心とした輸入の増加が上回ったことから、貿易収支は赤字幅を拡大した。このうち、輸出は66兆9694億円で、前年比5兆5273億円増加、3年ぶりの増加となった。輸入は77兆6093億円で、前年比10兆3532億円増加した。4年連続の増加である。
サービス収支は1兆5950億円の赤字で、前年比で8950億円赤字幅縮小した。輸送収支、旅行収支、その他サービス収支がともに赤字幅を縮小したことから、サービス収支は赤字幅を縮小した。
所得収支は、16兆5318億円の黒字で、前年比2兆2595億円の黒字幅拡大となった。直接投資に係る配当金・配分済支店収益の受取増加等により直接投資収益が増加したことに加え、証券投資に係る債券利子等の受取増加等により証券投資収益も増加した。このため、所得収支の黒字幅は3年連続で拡大、85年以降では、最大の黒字額となった。
一方、資本収支は4兆6090億円の流入超となった(前年は▲8兆1878億円の流出超)。居住者による投資である投資収支・資産は、対外直接投資が▲13兆1943億円の流出超(前年は▲9兆7782億円の流出超)となった。邦人企業による海外子会社の増資引受け等がみられ、流出超が継続した。
証券貸借取引を除く対外株式投資は6兆6197億円の流入超(前年は2兆1351億円の流入超)となった。銀行等が売り越し幅を拡大したこと等から、流入(処分)超幅が拡大した。証券貸借取引を除く対外中長期債投資は▲3136億円の流出超(前年は▲17兆484億円の流出超)となった。銀行部門が売り越しに転じたこと等から、流出(取得)超幅が縮小した。
投資収支・負債(非居住者からの投資)は、対内直接投資が2232億円の流入超(前年は1,382億円の流入超)となった。海外親会社による邦人子会社への出資等がみられ、流入超が継続した。
証券貸借取引を除く対内株式投資は17兆118億円の流入超(前年は2兆3512億円の流入超)となった。銀行業、電気機器、輸送用機器等の幅広い業種において買い越しとなり、流入(取得)超幅が拡大した。
証券貸借取引を除く対内中長期債投資は▲1兆3942億円の流出超(前年は2兆7195億円の流入超)となった。中長期国債が売り越しに転じたこと等により、流出(処分)超に転じた。
以上のことから経常収支は3兆3061億円で、前年比で1兆5176億円(31.5%)の黒字縮小となった。2010年から3年連続の黒字縮小である。これは、貿易収支が10兆円を超える大幅赤字を計上したことが大きい。貿易立国とも言える日本の収支モデルの真価が問われている。(編集担当・慶尾六郎)。