汚染水が漏えいした現場。分析の結果、H6エリアタンク雨樋水(2月20日採取)からは、セシウム134:3800Bq/L、セシウム137:9300Bq/L、コバルト60:1800Bq/L、マンガン54:1300Bq/L、アンチモン125:4万1000Bq/L、全ベータ:2億3000万Bq/Lが検出された。
福島第一原子力発電所で、高濃度汚染水の漏えいが発生した。東京電力<9501>は2014年2月20日、H6タンクエリアのタンクから100tの高濃度汚染水の漏えいが発生したと発表した。
発生したのは2月19日、午後11時25分頃。H6エリアに設置されているタンクの上部より水が垂れ落ちていることを協力企業作業員が発見した。現場を確認した結果、タンク上部天板部のフランジ部より水が漏えいしており、上部天板部から漏えいした水は雨樋を伝わり堰外へ流出していることを確認。近くに排水路がないことから、海への流出はないとしている。
漏えいしている水の表面線量率を測定したところ、70μm線量当量率は50mSv/h(ベータ線)、1cm線量当量率は0.15mSv/h(ガンマ線)だった。その後の現場確認の結果、このタンクの受入弁2ヶ所が開状態になっていたことから、該弁を全閉にし、漏えい量が減少したことを確認。また、滴下箇所については、ビニールで養生し、漏えい水を受けているという。
漏えいを止める措置として、同日午前3時30分にH6タンクエリアの該当タンク群間の連結弁を開け、水位を下げる操作を実施した。その後、午前5時40分に漏えいが停止したことを確認。タンク水位は、上部天板部より47cmの位置まで低下したという。受け容器内に溜まった水を排水したところ、水の流れは停止したことから、漏えいの継続はないことを確認した。溜まった水は建屋内からの漏えい水ではなく、雨水または地下水と判断した。
また、漏えい範囲はタンク堰沿い南方向に約3m×約40m、近傍道路を跨いでU字溝の中に約30m×約1m、蒸発濃縮装置用タンク設置エリアに約36m×約20mであることを確認。また、漏えい量は、RO濃縮水供給ポンプの移送量およびタンクの空き容量等から、総漏えい量は約110mtと推定。そのうち堰外に約100t漏えいしたものと判断した。漏えいした水のうち回収可能な水は、バキューム車で汲み上げた。
東電では、原因は、絶縁抵抗測定時に誤った電圧を印加したことにより、このタンクの温度計に影響を与え、原子炉圧力容器温度監視機能を発揮できず、水が溢れるのを確認できなかったことだとしている。簡単に言えば、作業ミスだ。今回に限らず東電の処置はいつも後手に回っている。放射能の恐怖はまだ続く。近郊住民の不安は並大抵ではないだろう。一刻も早い終息を願う。(編集担当:慶尾六郎)