川崎汽船株式会社<9107>は、2014年2月25日、今治造船株式会社丸亀事業本部において、88,000トン型の石炭専用船「CORONA SPLENDOR」の竣工を発表した。川崎汽船は、発電用石炭輸送の専用船を「コロナシリーズ」として保有しており、13年10月には「CORONA ROYAL」も竣工しており今回で17隻目になる。
コロナシリーズは電力用の石炭輸送に最適とされるよう、幅広浅喫水に設計されており、喫水制限のある港湾でも入港が可能なように荷揚げを考え設計されている。喫水とは船が水面に沈む長さのことである。また、CSRや、窒素酸化物の排出量が法令の放出基準に適合しているかといった、NOx2次規制などの新規則に対応しており、長期にわたって安全で安定した輸送を今後展開する予定である。コロナシリーズの石炭専用船は電力発電用の石炭輸送に特化しており、13年の11月には北陸電力株式会社と発電用石炭輸送の、15年より開始予定である、連続航海傭船契約を結んでいる。
現在日本の石炭の自給率は低く、99%以上のほぼ全量を輸入に頼っている。電力の火力発電用の一般炭の輸入量の推移は、10年10万5,012トン、11年10万1,723トン、12年10万6,289トン、13年10万9,029トンと、11年に一旦落ち込むも、輸入量は増加している。伸び率の前年比は10年15.5%、11年-3.1%、12年4.5%、13年1.3%と、輸入量と共に着実に伸びてきており、原発から火力発電への移行が要因と思われる。今後、世界での石炭の需要は増加の見通しが立てられており(EDMCエネルギー・経済統計要覧より)安定した供給が事業の戦略の一環となると考え、川崎汽船も新たな石炭専用船を竣工したと思われる。さらに、商船三井も14年2月に石炭専用船を竣工している。
発電用として、今後も石炭や燃料資源の輸入量は横ばいか増加していくことを考えると、日本の貿易収支の赤字を改善するためには、石炭や他の燃料資源の輸入以外の部分で対策を考えなければならなくなってくる。そのために輸出の増加や国内での製造力の強化など、多方面からの様々な対策が必要ではないだろうか。また、円安を是正する政策も期待される。(編集担当:高井ゆう子)