ダイキン<6367>はヨーロッパ、中国市場に強い点が裏目に出て164円安、バイオロジクス事業撤退で特別損失を計上し今期最終赤字40億円の見通しを発表したオリンパス<7733>は105円安。リスクオフ、円高の日は資源・エネルギー関連が堅調で、前週末28日に電力小売を2016年に全面自由化する電気事業法改正案が閣議決定されても10電力は10円安の東京電力<9501>と25円安の沖縄電力<9511>以外の8銘柄はプラスで終えた。NY原油先物(WTI)が時間外取引で5ヵ月半ぶりの高値をつけ、国際石油開発帝石<1605>が17円高になるなど鉱業セクターは騰落率トップ。NY金先物も高騰して住友金属鉱山<5713>は4円高だった。
前週末に1株を5株にする株式分割を発表したアステラス製薬<4503>は売買代金11位に入り朝方はプラスだったが315円安。アメリカのメディベーション社と共同開発する前立腺ガン治療薬の売上見通しが市場の期待に届かず、前週に上場来高値を更新し株価水準も高かったため大幅安になった。久光製薬<4530>は2月期営業利益が1割減の210億円という業績観測で105円安。ゼリア新薬工業<4559>も163円安で値下がり率3位など医薬品は業種別騰落率最下位に沈んだ。
資生堂<4911>は中国リスクがあっても21円高で昨年来高値を更新しディフェンシブ系の強さを見せつける。イオン<8267>やセブン&アイHD<3382>など小売大手は消費増税前の買いだめ需要で活況と報じられたが、イトーヨーカ堂の総額5億600万円の所得隠しが発覚しセブン&アイHDは35円安。確定申告の時期は納税者をビビらせようと国税庁から〃いけにえ〃的な所得隠しや申告漏れの公表が相次ぎ、株式市場には思わぬリスクが降りかかる。
こんな日でも新興市場のロボット関連はストップ高続出の人気ぶり。サイバーダイン<7779>の介護ロボットの販売代理店なのに株価に火がつかず投資家をやきもきさせる大和ハウス工業<1925>は、本業でアメリカの現地大手と提携し賃貸住宅事業に1600億円を投資するニュースがあり7円高。その傘下で再建中の大和小田急建設<1834>は通期最終利益見通しを7億円上方修正し、期末配当も2円増額して23円高で値上がり率2位。前週悪かった不動産やノンバンクの一部に押し目買いが入り、東京建物<8804>は2円高、アイフル<8515>は6円高。一方、オフィス用品通販のアスクル<2678>はゴールドマンサックスがレーティングを格下げし305円安で値下がり率1位。山下医科器械<3022>は元社員の不正行為で国立病院機構から9ヵ月の指名停止の処分を受け、126円安で値下がり率2位になった。
ゲーム・コンテンツ関連ではドワンゴ<3715>が152円高で値上がり率6位で、クルーズ<2138>は乱高下しても終値40円高だったが、前週末28日に昨年来高値を更新したぐるなび<2440>は利益確定売りで245円安で値下がり率4位。セルロースナノファイバー関連の星光PMC<4963>はストップ高の300円高で値上がり率1位、売買代金6位と相変わらず強い。
この日の主役は防衛関連銘柄、ウクライナ情勢の緊迫化だけでなく、北朝鮮が早朝に再び日本海に向けてミサイルを発射し、石川製作所<6208>は売買高14位、5円高で値上がり率7位。豊和工業<6203>は25円高で値上がり率11位。地政学的リスクが高まるとすぐ反応するが、石川製作所は機雷もつくるが主力製品は段ボールの製造機械で、豊和工業は自衛隊に小銃を納めるが本業は工作機械メーカー。両銘柄ともいつも「戦争成金」のように見られていて、気の毒な気もする。(編集担当:寺尾淳)