【日経平均】地政学的リスク回避の円買いで188円の大幅安

2014年03月03日 20:39

 前週末2月28日のNYダウは49ドル高で3日続伸し、3日続落の東京市場と正反対。10~12月期の実質GDP改定値は速報値から下方修正されて年率2.4%増で市場予測を0.1ポイント下回ったが、シカゴ購買部協会景気指数、ミシガン大学消費者信頼感指数がともに市場予測を上回って補った。それでもウクライナ情勢が上値を抑えて一時はマイナスまで落ちNASDAQ総合指数は反落した。3日朝方の為替レートはドル円は101円台前半、ユーロ円は139円台半ばで、前週末からユーロ安が進む。3月1日にロシア上院がウクライナへの軍事行動を支持して緊張が高まり、国際社会はプーチン大統領に自重を求めた。

 取引時間前に財務省から発表された10~12月の法人企業統計は、10日発表のGDP改定値の算定に組み込まれる全産業の設備投資(ソフトウェアを除く)が前期比0.3%減。それでも金融・保険業を除く設備投資は4.0%増で3四半期連続プラスだった。ウクライナ情勢を懸念するリスクオフで外資系証券の売買注文動向は売り越し。日経平均は174.14円安の14666.93円で3月の取引が開始。下落ピッチを早めて午前9時台のうちに14600円も14500円も割り込み、9時51分に14443円まで下落する。5日からの全人代を前に中国の雲南省で1日に起きた昆明駅無差別テロ事件で2日までに29人が死亡。1日発表の中国国家統計局・物流購買連合会の2月の製造業PMIも50.2で前月比0.3ポイント低下。それを受けて週明けの香港市場は下落したが上海市場は前週下げすぎた反動もあり開始直後にプラスに転じて株価を切り上げる。14500円台を回復した日経平均も徐々に値を戻して14600円に迫り、前引は14581円だった。

 ロシアはクリミア半島で実効支配の既成事実化を進めてもそれを超える動きを見せず、「リスク回避の円買い」による円高も一段落して、後場は14540~14590円のレンジで一進一退が続き低位安定。主要7ヵ国の財務相が「ウクライナに強力な金融支援を提供する」という共同声明を発表すると午後2時前に一段高になり14600円台に乗せ、大引けまでおおむねその半ばで推移し終値は188.84円安の14652.23円。4日続落しても安値から下げ幅を209円も圧縮し期待をつないで終えた。日中値幅は241円。TOPIXは-14.90の1196.76で1200割れ。売買高は21億株、売買代金は2兆54億円でかろうじて2兆円台に乗せた。

 東証1部の値上がり銘柄は351、値下がり銘柄は全体の約4分の3の1351。33業種別騰落率でプラスのセクターは鉱業、電気・ガスの2業種のみ。下落31業種で値下がり率が小さいのは銀行、証券、水産・農林、卸売など。大きいのは医薬品、情報・通信、精密機器、電気機器、海運、機械などだった。

 日経平均採用225種で値上がりは29銘柄、値下がりは189銘柄。プラス寄与度1位は+16円のファーストリテイリング<9983>で、アメリカの衣料品販売大手Jクルーを50億ドルで買収するとウォールストリートジャーナルが報道して430円高になり、後場ずっとプラスを維持して日経平均を支えた。2位はホンダ<7267>で+4円。マイナス寄与度1位はソフトバンク<9984>で-28円、2位はファナック<6954>で-18円だった。

 メガバンクは高安まちまち。みずほ<8411>は1円安、三菱UFJ<8306>は1円高、三井住友FG<8316>は46円安、りそなHD<8308>は8円安。証券セクターも野村HD<8604>は3円安でも大和証券G<8601>は2円高だった。2月の新車登録台数は15.0%増の33.6万台で6ヵ月連続増加だったが、円高なので自動車セクターは軟調。トヨタ<7203>は66円安、マツダ<7261>は17円安、日産<7201>は6円安。ホンダは後場プラスに転じ62円高と独歩高した。今期末25円を配当し16年ぶりの復配を果たす見通しを発表した三菱自動車<7211>は11円安、インドで商用トラックに参入するスズキ<7269>は42円安で終えた。電機は終盤上昇し、日立<6501>は16円安でも東芝<6502>は4円高。NEC<6701>は13円安、ソニー<6758>は20円安、シャープ<6753>は12円安でもパナソニック<6752>は4円高など、高安まちまちだった。