ハーグ条約、4月1日に発行で何が変わる?

2014年03月26日 10:53

今や国内の婚姻件数のうち、約5%が国際結婚。外国人と結婚し、海外で暮らす人も珍しくない。一方で、国際離婚や親権争いなどの問題も多発。4月1日には、国際結婚が破綻した際の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」が日本でも発行される。条約の発行で、何が変わるのか。

ハーグ条約は80年、オランダの「ハーグ国際私法会議」によって作成された。国際結婚・離婚の増加を背景に、欧米を中心に加盟国が拡大。外務省によれば、14年1月現在、世界91カ国が条約を締結している。

 条約では、どちらかの親が強制的に子供を国外に連れ出した場合、子供を元の居住国へ速やかに返還するよう定めている。子が親の都合によって、慣れ親しんだ交流関係から引き離されないよう、その利益を守るのが目的だ。条約は子供が16歳になるまで適用される。

 ハーグ条約は加盟国同士でしか有効にならないため、加盟国である米国人男性と結婚した日本人女性が離婚して子連れで帰国し、父親が子供と面会できなくなるなどの例が多発。こうした問題を重く見た欧米諸国は、長年にわたり日本の条約加入を求めてきた。日本人にとっても、外国人の元配偶者が子供を相手の母国へ連れ帰ってしまった場合、返還を求めることができないという問題があった。政府は11年から、条約締結の検討を開始。来月1日以降の国際離婚には、ハーグ条約が適用されることになる。

 今後は海外で離婚した日本人が、元配偶者に黙って子連れで帰国した場合、条約にもとづき元の居住国に子供を連れ戻される可能性がある。もちろん、子供が新しい環境に馴染んでいる場合や、背景に家庭内暴力があるような場合には、裁判所が子を返還しなくてもよいと判断することもある。

 ハーグ条約によって、保護者が逮捕されたりすることもない。条約の目的は「子供を元の居住国に返還すること」であり、連れ去った親への刑事罰を規定するものではないからだ。ただし滞在国によっては別の法律で処罰される可能性もあるので、もしもの際は入籍した国の法律を確認しておくことが必要だ。(編集担当:北条かや)