三輪の125ccコミューター、タイに続き国内でも40万円以下で年内お目見え?

2014年04月05日 20:14

TRICITY2

タイ向けモデルのTRICITY。カラーは白の他、グレー、赤があり、2014年4月から販売開始

 ヤマハ発動機<7272>が、ニュースタンダード シティコミューターのもとに開発したのがTRICITY(トリシティ)だ。これはまだ記憶に新しい、昨年11月に開催された東京モーターショーで、ジャパン・プレミアされたTRICITY conceptの市販モデル。2014年4月から世界に先駆けてタイで販売され、2014年度中には国内・欧州での販売を予定している。

 フロント二輪コミューターは、イタリアのメーカーからすでに販売されているが、どれも価格が80万円以上と高額なもの。それに対してTRICITYは、タイで製造することで、コストダウンを図り、目標であった40万円以下という他社モデルの半分ほどの価格で販売する予定となっている。

 急成長を遂げているASEAN地域を始め、欧州など先進国などでも、都市部の渋滞などを理由に、二輪車が、通勤や通学など生活における主要な移動手段になっている。そのコミューターカテゴリーに、TRICITYという新たなモデルを投入することで、ヤマハ発動機は同社ブランドイメージをさらに高め、特に他社攻勢で苦戦しているタイ市場においては、販売拡大の役目を担って欲しいとの考えがある。そういうことから排気量125ccのTRICITYが、タイで生産・販売されることになった。ヤマハ発動機では、今後もグローバルな調達、供給を拡大し、生産していくものと思われる。

 実際にTRICITYを見るとフロントが特徴的だ。旋回時に二つのタイヤが独立して上下し、車体と同調して傾くヤマハ独自のLMW(リーニング・マルチ・ホイール)機構を採用しているからだ。これによって荒れた路面やヨーロッパの道路によくあるような石畳などでも、ギャップの吸収性が高く、快適な乗り心地をもたらしてくれる。

 「二輪レースの世界最高峰であるMotoGPのマシン製作を担当していたスタッフが、TRICITYの開発にも携わっていて、レースで培った技術を反映させています。たとえば車体の重量配分を理想的な50:50に設定するなど、とにかく軽快でスポーティなハンドリングになっています(ヤマハ発動機広報)」

 シティコミューターらしく、高い利便性や安定性はもちろんのこと、今までにない「新しい楽しさ」を提唱した、先進的で個性的なデザインのモデルと言える。

 同社のグローバルWEBサイトでは、仮想の特務機関「Rev STATION」がスタート、近未来SFを舞台にした動画が配信されており、このなかでTRICITYが登場する。“エピソード1”とあるので、ストーリーは続いていくのだろうが、惜しむらくはサイト自体が英語とタイ語のみということ。

 国内向けのTRICITYは、今のところ2014年度中には発売とのアナウンスだが、具体的な発売時期や、タイ向けモデルと同じ仕様になるのかは未定。ともかく一番気になるのは、なんといっても、フロント二輪のハンドリングだろう。(編集担当:鈴木博之)