日立建機、100%藻類バイオ燃料で油圧ショベル500時間稼働達成

2014年04月14日 08:18

 日立建機は、藻類よりできたバイオ燃料を100%の濃度で使用し、世界で初めてハイブリッド油圧ショベルで500時間の稼働を達成したと11日に発表した。

 日立建機ではCO2排出が少なく、燃費の良い製品の製造を環境ビジョンに入れており、化石燃料の使用量を抑えた低燃費の建設機械の研究開発を進めている。環境適合製品の比率を高めるため、電動式油圧ショベルやハイブリッド油圧ショベルなどを製品化してきた。

 また、多様化する燃料の様々な研究も行っており、バイオ燃料の中でも代替として注目されている「微細藻類から製造されたバイオ燃料」を100%の濃度で用いて、上記の低年費製品の中からハイブリッド油圧ショベルZH200を使用し、稼働時間の試験を行った。

 バイオ燃料とはバイオマスを用いた燃料で、植物や食料品廃棄物など生物由来の有機性資源となる。大気中のCO2を吸収して成長した植物の油から作られるため、地球環境上のCO2削減に寄与できる。さらに微細藻類は淡水や海水だけでなく、陸上にも生育する微小な植物プランクトンであり、大きさは数マイクロメートルから数10マイクロメートルだが、パームヤシやトウモロコシなどの油性植物を大幅に上回る効率で油を生産できる。食料需給などと競合せずに化石燃料からの依存度を減らし、持続可能な社会の実現に貢献する可能性を秘めていると言われる。

 本稼動試験にあたり、世界の10数社の藻類バイオ燃料を検討し、ディーゼルエンジンの稼働に適しているとしてアメリカのソラザイム社の「ソラディーゼルRD」を選択した。この燃料は硫黄分や芳香族分を含まずさらに自己着火し易く、排出ガス性状の改善や急激な燃焼を防止する効果という従来のバイオ燃料にはない特徴がある。

 この稼働試験は道路整備などが事業で、バイオ燃料を通じ、環境問題に取り組む前田道路株式会社の協力を得て13年9月から福島県郡山市の前田道路郡山合材工場で実施された。

 エンジンメンテナンスサイクルの500時間を目標に設定し、データ収集は通信衛星システムで遠隔で監視、分析した。11月、ついに500時間を達成しオペレーターも「軽油と同等のパワー」とのことであった。

 今後は500時間以上の稼働や他機種への適用性が検討項目となり、製品への適用を目指すとの事である。近年様々な企業が多様なエネルギーについて研究、開発しており今後のエネルギー事情は興味深い。(編集担当:高井ゆう子)