取り組み進むICTを用いた医療の質向上 NTT西日本など新たなサービスをスタート

2014年04月13日 17:33

 限られた医療リソースを有効に活用し、質の高い医療を提供するためのICT技術開発が進んでいる。総務省のアンケートでも積極的にICTに取り組む医療機関ほど、情報共有や事務処理向上、労働時間短縮の効果を得ていることがわかっている。こうした中で、トライフォー、NTTスマートコネクト、NTT西日本は、カンファレンスにおける医用画像を共有するための新たなクラウドサービスの提供を開始した。

 我が国の医療機関においてはCT が約13,000台、MRIが約6,000台導入されており、人口百万人あたりの検査装置の台数は、世界的に突出して多く第一位となっている。一方で、診断をする放射線科医は約6,000人であり、CTおよびMRI装置台数あたりの放射線科医が世界的に見ても非常に少なく、専門性の高い放射線科医の業務効率化及び育成が急務となっている。

 こうした背景を受けてトライフォー、NTTスマートコネクト、NTT西日本は、限られたICTを活用した医療の効率化と質の向上を目指し、クラウドサービスの開発・提供に向けて協業することを決めた。協業の第一弾としては、CT や MRI などの医用放射線画像をデータセンターにアップロードして、研究会、学会、症例検討会(以下、研究会)などのカンファレンス向けに、医用画像を閲覧・共有できるクラウドサービス「Nadia クラウド for 研究会」をトライフォーから4 月10日から提供開始した。
 
 「Nadia クラウド for 研究会」は、研究会の主催者が、会の中で利用する医用画像を圧縮、匿名化した形で、任意の一カ月間データセンター上に保存することができ、研究会の当日のみならず事前、事後学習として参加者に自由に閲覧させることができるサービスだ。

 従来、医師による院内カンファレンスをはじめ、研究会など、症例画像を大勢で共有してディスカッションするようなシーンにおいては、プレゼンテーター主導のスライド・画像提示が多く、症例画像の詳細を見ながらディスカッションすることが難しかった。

 サービスを活用すると、参加者はディスカッションしながらノートPCやタブレット端末、スマートフォンなど個々の端末のインターネットブラウザーを活用した高機能ビューワーで、症例画像を自由に拡大、移動して閲覧することが可能となる。参加者が専用のアプリケーションソフトウェアをインストールする必要はなく、症例画像をダウンロードするわけではないのでセキュリティ面でも安心できるのが特徴。

 研究会では今後、放射線画像以外の医用画像へも範囲を拡張し、医用画像の流通基盤の整備を進めていく方針だ。

 近年、クラウドを用いた遠隔医療などの技術開発が急速に進んでいる。今回のサービスもカンファレンスの効率化などを図ることができ、ICTを用いた医療の質向上に貢献することが期待できるだろう。(編集担当:横井楓)