3年で3倍強に拡大するウェアラブル市場。動きを強める日本企業

2014年03月15日 21:20

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ロームが開発した世界最小トランジスタ「VML0604」(図真ん中、左は「VML0806」、右は0.5mmのシャープペン芯)。拡大するスマートフォン市場、今後の拡大が見込まれるウェアラブル端末市場で大きな需要が期待される。

 腕時計や眼鏡などの形状で身に着けることができ、次世代テクノロジーとして注目される、ウェアラブル機器。米国に本拠地を置く業界最大規模のICTアドバイザリ企業Gartnerによると、ウェアラブル機器をはじめ、関連サービスやアプリなども含めた、2014年度の全世界の売上合計は16億ドルを見込んでおり、2016年には50億ドルにも達すると予測している。さらに、現在はフィットネス関連に偏りがちな市場だが、これがたとえば医療や医学研究などの分野、企業の業務利用などにも拡がれば、ウェアラブル・テクノロジーは大きな発展をみせる可能性を秘めている。

 日本でもその注目度は高く、3月25日と26日には、米国TMC(Technology Marketing Corporation)が設立したウェアラブル・テクノロジーに特化したカンファレンス「Wearable Tech EXPO」の日本版となる「Wearable Tech EXPO in TOKYO 2014」が、日本で初めて東京ミッドタウン内のミッドタウンホールにおいて開催される。イベントの主催は朝日新聞社メディアラボ、博報堂DYメディアパートナーズおよび博報堂で、会場では最先端のウェアラブルデバイスなどが多数展示されるほか、多彩なゲストスピーカーを迎えて、日本版ならではの公演も多数行われる予定だ。

 来るべきウェアラブル時代に向け、すでに動き出している日本の企業も多い。

 たとえば、半導体・電子部品メーカーのローム株式会社では、スマートフォンやウェアラブル機器などに向けた超小型のトランジスタやダイオード、抵抗器などを製造しているが、3月10日にも世界最小サイズのトランジスタ「VML0604」(0.6mm×0.4mm、高さ0.36mm)を開発したことを発表している。これまで同社が2012年9月に発表した「VML0806」(0.8mm×0.6mm、高さ0.36mm)が世界最小のトランジスタパッケージとされていたが、内部構造の最適化や高精度パッケージ加工技術の導入によって、さらに実装面積を50%低減することに成功した。

拡大を続けるスマートフォンや、今後拡大が予想されるウェアラブル端末の市場ではセットの小型化や高機能化が必須で、搭載する電子部品に対してもより小型で薄型、高性能なものが求められている。トランジスタを始めとする半導体や電子部品の小型化は、通信などの機能追加やバッテリーの大容量化にも貢献する重要な部分。2012年度の「VML0806」が未だに世界最小であったことからも、今回の新製品は他社の追随を容易に許すものではないことが推測され、この新興市場で大きなアドバンテージを獲得するものとなりそうだ。(編集担当:藤原伊織)