住友重機械工業<6302>はバークレイズがレーティングを引き上げ14円高。この日は中小建設に買いが集まり、大豊建設<1822>は16円高、安藤・間<1719>は13円高で年初来高値を更新した。資生堂<4911>は3月期の経常利益を上方修正して前期比81%増の見込みで20円高。JAL<9201>は3月期の営業利益が18%減の1600億円という業績観測が出たが、それでも従来予想を上回っていたので50円高になった。
大型ホームセンターとして関東地方ではよく知られる存在のジョイフル本田<3191>が東証1部に直接新規上場。公開価格2700円に対して9時の取引開始時2650円の初値がつき、初値<公開価格の黒星を喫した。もっともその後は7.2%上昇して終値は2842円。小さく産んで大きく育てばいい。
この日の主役はビックカメラ<3048>の参入が報じられ急展開した「格安スマホ」。イオン<8267>のそれより安い月額2830円(税別)で販売を開始した。MVNO(仮想移動体通信事業者)としてそれに採用されたIIJ<3774>は209円高で値上がり率2位。イオンの格安スマホで先行したMVNO日本通信<9424>は、ヨドバシカメラ(非上場)がその回線で5月に格安スマホに参入すると報じられストップ高の80円高で年初来高値更新。スマホを割安で使えるSIMカードを出すフリービット<3843>は280円高、携帯電話販売の日本テレホン<9425>は185円高だったが、ビックカメラはなぜか1円安でイオンは値動きなしだった。夏モデルの半数以上に次世代の高音質通話を搭載して格安スマホおよび他の大手2社に対抗するNTTドコモ<9437>は2円安だった。
今年は通信の自由化が始まった1984年から30周年。その間に電電公社は民営化し、新電電が立ち上がっては離合集散し、携帯電話、インターネットが普及し、30年前の東京市場の一大テーマ「ニューメディア」の構想のほとんどが実現した。しかしスマホ時代の現在も「通信の自由化いまだ成らず」という声は根強い。格安スマホの重要インフラMVNOへの回線貸出料も総務省のガイドラインでNTTドコモが最も安くなるように誘導され、現状のままでは格安スマホの急成長でNTTドコモばかり儲かる。KDDIとソフトバンクは15日の総務省の特別部会で是正を求めていた。通信事業者だけでなくユーザーも投資家もみんな待ち望んでいる君の名を書こう。それは競争の完全なる「自由」。(編集担当:寺尾淳)