【日経平均】要人発言に神経質な反応を繰り返し15銭安

2014年04月17日 20:12

 16日のNYダウは高値引けの162ドル高で3日続伸。NASDAQも52ポイント上昇。前日に決算を発表したヤフーは6.3%の大幅上昇で、同じくインテルも上昇。ハイテク関連が連れ高してバンカメの赤字決算の影響をマスクした。イエレンFRB議長が講演で超低金利の長期化をほのめかしたのも株価上昇を後押しした。ウクライナでは武装勢力への掃討作戦で死人の山を築いている。富める者が自分のために戦争をする時、死ぬのは貧しき者の方。しかし異常の日常化なのか欧米株式市場はあまり反応しなくなった。グーグルの決算は市場予測を下回り、IBMも8四半期連続減収でどちらも時間外で下落。17日朝方の為替レートは102円台前半、ユーロ円は141円台前半で、前日から円安が進行した。

 シカゴCME先物清算値は14465円。取引時間前の外資系証券の売買注文動向は9日ぶりの買い越しだったが、日経平均は21.73円安の14395.95円と反落スタート。グーグルとIBMの下げを織り込むためで、ソフトバンク<9984>も利食い売りから入る。それもTOPIXを露払いにプラスにタッチ。いったん凹んだ後、9時30分頃から大きく上昇して9時45分に14500.66円をつけるが、14521円の25日移動平均線は抜けられない。ソフトバンクもプラスに切り返していた。買われた材料は英国のエコノミスト誌主催で東京で開かれた「ジャパンサミット」に安倍首相が出席し、基調講演で「国家戦略特区で岩盤規制に改革のメスを入れる」と述べたことだったが、その程度では長続きしなかった。

 上海も香港もプラスで始まったが、10時30分を過ぎると日経平均はマイナス圏まで急落してしまう。ソフトバンクもマイナスに。その原因は今週の国内最大のリスク要因「黒田東彦」。日銀支店長会議で「駆け込み需要の反動の影響を受けつつも基調的には緩やかな回復を続けていく」と述べたという速報が入った。「(物価安定目標2%の)上下双方向のリスクを点検し必要な調整を行う」と付け加えようと、マーケットは「現状認識がおかしい」と容赦なく売り浴びせ。11時台にはさらに一段安になり11時14分に14351円の安値をつけ、前引は14365円だった。

 後場は下げ幅を圧縮して始まるがプラスには浮上できず、午後1時までに最安値圏まで落ち込む。それでも1時台は14400円台を回復し1時30分すぎにはプラスに浮上して黒田総裁へのお仕置きは終了。しかしその後は2時に発表された3月の消費動向調査の消費者態度指数が-1.0ポイントの37.5で4ヵ月連続で下落すると一時マイナスにタッチするなどなかなか安定しない。それでも最後まで小幅ながらプラスを維持していたが、終値は惜しくも0.15円(15銭)安の14417.53円で3日ぶりの反落。日中値幅は149円だった。終値はほとんどイーブンパーだったが、前日大幅高の主力銘柄の利益確定売りと要人発言に対する神経質な反応が目立っていた。TOPIXは+0.04の1166.59で3日続伸。売買高は19億株、売買代金は1兆7980億円だった。

 値上がり銘柄は921、値下がり銘柄は688。業種別騰落率はプラス22業種、マイナス10業種、どちらでもないのが1業種だった。プラス上位は繊維、海運、倉庫、電気・ガス、その他製造、空運など。マイナス下位は金属製品、ゴム製品、保険、輸送用機器、不動産、銀行などだった。

 日経平均採用225種の値上がりは113銘柄、値下がりは95銘柄。プラス寄与度1位はファナック<6954>で+12円、2位はダイキン<6367>で+3円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-20円、2位は東京エレクトロン<8035>で-7円だった。

 メガバンク、証券大手にプラス銘柄はなかったがノンバンクのオリックス<8591>は19円高で続伸。「カムリ」を大幅改良して北米市場で現代の「ソナタ」に対抗するというトヨタ<7203>は11円安、中国での「インフィニティ」の販売を80店舗体制にする日産<7201>は9円安、ホンダ<7267>は三菱UFJ証券がレーティングを引き下げて74円安、マツダ<7261>は3円安と自動車大手が軒並み安だった中で、小型車や軽に燃費を改善する簡易ハイブリッドを本格導入というニュースで上昇し63円高のスズキ<7269>が健闘していた。ソニー<6758>は子会社がスクエニHD<9684>株を全て売却と報じられ15円安。スクエニHDは95円高で値上がり率16位、売買代金8位に入った。パナソニック<6752>が16円安など電機大手も利益確定売りで軒並み安になっていた。