人間誰しも、年はとりたくないものだ。しかし、実際の年齢自体を大きな問題だと考えている人はそれほど多くはない。問題なのは、年々失われていく体力や身体機能、そして「見た目年齢」だ。同じ歳でも、若々しく見える人もいれば、実年齢以上に年をとって見える人もいる。その違いは一体、何なのだろうか。
見た目年齢を大きく左右するひとつは「肌」だ。年齢を重ねると、代謝や骨密度、筋力など様々な機能低下が起こるが、皮膚も同様に年齢とともに新陳代謝が低下する。表皮や真皮層の厚みが失われ、肌の弾力が低下してしまうことが、見た目の「老け」の原因となるのだ。さらに角層が厚くなることで肌色がくすみがちになり、肌の老化は加速する。
肌の老化の主な原因は、酸化ストレスを与える「活性酸素」だ。活性酸素は年齢とともに増加し、これが過剰に発生することで表皮や真皮が傷つけられ、肌の弾力性を低下させる。しわや乾燥の原因になるばかりでなく、傷の治りが悪くなるなど、ダメージからの回復も極端に遅くなってしまう。つまり、活性酸素が細胞に与える参加ストレスをいかに抑えるかが、肌の老化防止のポイントとなるのだ。
この肌の老化防止に貢献する大変興味深い研究結果が、先日、株式会社山田養蜂場から発表された。同社では、千葉大学大学院医学研究院の清水孝彦准教授らのグループとの共同研究を行い、メリンジョ由来のレスベラトロールが肌の酸化ストレスを抑制し、肌弾力の低下を予防する作用があることを明らかにした。
レスベラトロールは、ブドウの皮や種子などに含まれるポリフェノールの一種で、若返りの成分とも呼ばれており、以前から美容成分として注目されている。一方、メリンジョはインドネシア原産の裸子植物で、現地で一般的に常食されてきた食材だ。種子にはポリフェノールが多く含まれており、抗酸化作用や抗老化作用が期待されている。
同研究では、このメリンジョから採取したレスベラトロールを加齢病態モデルマウスに投与したところ、加齢によって失われる肌の弾力を保つ作用があることが示唆された。この成果は、2014年3月27~30日に明治大学で開催された「日本農芸化学会2014年度大会」において発表されて注目を集めた。さらに、加齢病態モデルマウスにおける血液中の酸化ストレスマーカーの値も、メリンジョ種子抽出物含有餌を与えると有意に減少し、全身性の酸化ストレスが軽減した。
山田養蜂場では、引き続き研究を進めていき、今後はヒトでの有効性の検証を見据え、有用成分の同定やメカニズムの解析を進めていくとしており、今後の老化予防の可能性に期待が高まる。(編集担当:石井絢子)