コマツ<6301>は今期の営業利益が1%増の2430億円の見通しで市場予測の2471億円を下回ったが、小糸製作所同様に市場予測にほぼ達したとみなされ43円高。この日の敢闘賞は売買代金7位のファナック。3月期決算は純利益32%増の1465億円で3年ぶりの最高益。今期の営業利益見通しは24.4%増の2042億円で市場予測の1996億円を上回り、野村證券がレーティングを引き上げ70円高だった。iPhone6の生産に使われるロボドリルの販売増が見込めるという。同じ工作機械業界のオークマは値上がり率9位の75円高で御三家のファナックを追い抜いて日経平均プラス寄与度1位に躍り出て、まさに殊勲賞。営業利益が55.2%増で市場予測を上回り、年間配当3円増配という今期の業績見通しが高く評価されていた。
NTT<9432>144円高、KDDI<9433>5円高と通信大手は堅調。しかし25日に発表されたNTTドコモ<9437>の3月期決算は9年ぶりの減収減益。今期営業利益は8.4%減の見通しだが、発行済株式数の7.7%という大規模な自社株買いの枠を設定したおかげで売買高12位、売買代金4位と買われ株価は58円高になった。返し技が決まって技能賞と言いたいところだが、決算に限らず「悪材料を発表しても同時に自社株買いを発表すれば相殺されて株価を維持できる」という風潮がなきにしもあらず。25日にそれをやって効かなかった日本トリム<6788>は700円安ストップ安比例配分で3日続落し年初来安値を更新し値下がり率2位。悪材料はなくても自社株買いを発表した介護・医療分野の人材紹介業のSMS<2175>は189円高で値上がり率8位だった。
26日、群馬県の富岡製糸場について国際記念物遺跡会議(イコモス)が登録が適当と勧告し、ユネスコ世界文化遺産指定が確実になった。週末は見学者が押し寄せ数少ない明るいニュース。1987年まで富岡製糸場を操業していた片倉工業<3001>は富岡市に建物、機械、土地を寄贈済みだがご祝儀なのか37円高で年初来高値更新。もっとも、「富岡」と言えば福島第一原発事故のせいで近年はこちらの方が報道の頻度が多かったのが福島県富岡町で、今なお全町民避難中。東京電力<9501>は9円安だった。
連休の谷間に物色されやすいのがテーマ株。前週に続きアイフル<8515>が3円高ながら売買高1位、売買代金2位で、星光PMC<4963>は116円高で値上がり率7位に入った。その逆がカジノ関連銘柄で、日経新聞に与党の公明党に慎重論が根強くカジノ関連法案の今国会成立が望み薄という記事が載り日本金銭機械<6418>は85円安、コナミ<9766>は50円安、セガサミーHD<6460>は94円安で年初来安値を更新した。ヤフー<4683>は出店手数料無料の新戦略の影響で4~9月期業績見通しで初の営業減益。売買高11位に入ったが31円安だった。楽天<4755>は売買高8位、売買代金6位に入り23円高だった。
この日の主役は25日発表の決算の注目度が高かったホンダ<7267>。155円安で4.47%下落し、売買代金3位で4月11日以来の年初来安値更新と売り込まれた。今期の経常利益見通しは2.2%増の7450億円で市場予測を15.9%も下回り、JPモルガンはレーティングを引き下げた。2014年3月期は期初から期末までドル円で約10円、10.7%も円安が進んだが、今期、それと同程度の円安を期待するのは無理。ホンダの今期想定為替レートはドル円100円で、利益見通しも保守的にならざるを得ないので株価下落は承知の上。円安効果が剥落した後に何が残るかが、今期の自動車各社の業績、株価を左右しそうだ。(編集担当:寺尾淳)