30日、野村ホールディングス<8604>は2014年3月期の連結決算(米国会計基準)を発表。それによると、個人投資家向けの株取引や投信販売が好調に伸び、純利益は前期比99%アップの2135億円となった。これは06年3月期以来8年ぶりの高水準である。
野村ホールディングスは、16年3月期に個人投資家向けの営業部門の部門税引き前利益を、1000億円にするという中期目標を立てている。そして今回の14年3月期第4四半期(1~3月)の営業部門の税引き前利益233億円は、目標としては十分に達している水準であるとの見解も示している。
しかしその14年3月期第4四半期の営業部門の税引き前利益233億円は、13年の10~12月期の477億円を下回っている。これに関しては、12年9月から顧客の信頼獲得とビジネス拡大が両立できるような営業改革を推進してきたものの、去年12月に株式、投信の利益にかかる軽減税率が終了したこと、また国内外のマーケット環境が悪化した影響ではないかとの分析を行っている。
同日に発表された14年3月期第4四半期の連結決算によれば、純利益は前年同期比26%ダウンの612億円であった。安倍晋三首相の掲げる経済政策「アベノミクス」への期待感が後退したことや、円安の一服などにより株式相場の上値が抑えられ、営業部門の業績は減速した。しかしアメリカを中心に海外収益が拡大した以外にも、投資先の株式売却などの利益が発生したため、14年3月期第4四半期の純利益は13年10~12月期の483億円から増加することとなった。
営業部門の税引き前利益は前年同期比59%ダウンの233億円。こうした大きな減少の要因は、相場の低調さだけではなく、野村ホールディングスの戦略そのものにもあるとみられている。12年の秋に今の経営体制になって以来、野村ホールディングスはほぼ毎月のように新規の投信を設定し投資家に販売するこれまでの戦略を変え、既存のファンドに投資家の資金を誘導する「コンサルディング営業」に転換させた。こうした影響もあってか、投信の販売は前四半期比で46%ダウンした。(編集担当:滝川幸平)