工場立地動向に見る、メガソーラー発電所の建設ラッシュの異様さ

2013年04月13日 20:09

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経済産業省が発表した「工場立地動向調査結果」よると、平成24年の立地件数は前年比41.1%の増加、立地面積は同207.4%となっており、立地件数は平成20年以来の1000件越えている。

 昨年から開始された再生可能エネルギーの固定買取制度。これに伴うメガソーラー発電所建設ラッシュが止まらない。

 3月25日には日立マクセルが2013年度下期からメガソーラー発電事業を開始すると発表したり、28日に興和が、8月から静岡県富士市としては初となるメガソーラーを建設し太陽光発電事業に本格参入を発表。同日には、大和証券グループも太平洋興発とメガソーラー発電事業実行検討で基本合意するなど、業界・分野に関係なく、猫も杓子も「メガソーラー発電所」である。では一体、どれぐらいの面積がメガソーラー発電所用地となっているのか。

 一つの資料として、経済産業省が4月5日に発表した「工場立地動向調査結果」が参考となるであろう。これは昭和42年から実施されている調査で、全国の製造業・電気業(水力発電所、地熱発電所を除く)、ガス事業及び熱供給業のための向上又は事業所を建設する目的で取得された1000m2以上の用地が対象となっている。

 これによると、平成24年の立地件数は前年比41.1%の増加、立地面積は同207.4%となっており、立地件数は平成20年以来の1000件越え、立地面積も4年連続で減少していたものが一転、急増。中でも注目すべきは電気業における増加であろう。電気業の立地件数は、前年が13件であったのに対し2012年は289件となり、立地面積も前年は31haであったものが2039haと大幅な増加となっている。過去10年間、電気業における立地件数が15件を超えたことはなく、立地面積も平成19年の183haが最高であったことからも、その拡大幅が尋常ではないことが窺えるであろう。また、水力発電所、地熱発電所が除かれた統計であり、火力発電所の新設や風力発電所の建設があまり活発ではないことを考慮すれば、そのほとんどがメガソーラー発電所であると考えられる。さらに、立地面積を都道府県別にみると、多い順に、北海道の466ha、茨城県の242ha、福島県が198ha、宮城県164ha、大分県の157haとなっている。この数字からは、広大な土地を確保しやすい地域、復興を兼ねた地域、日照時間等を考慮した結果のより効率的な発電が可能な地域、といった企業による用地取得の意図が見えるであろう。

 メガソーラー発電所の建設ラッシュは今も続いている。この傾向は本当に手放しで歓迎すべきことなのであろうか。太陽光発電には、大規模な施設を建設することなく発電所として機能する利点がある反面、気候・転向に左右されるため安定的な電力供給の面で不安がある。太陽光発電先進国と言われたドイツへの評価も2分されており、固定買取制度の弊害も無視できない。高い収益性から参入が相次いでいることを考えれば、採算が合わなくなったときには撤退ラッシュが発生することも考えられる。日本におけるメガソーラー発電所の建設ラッシュは、バブル的な要素を含んでいると言えるのではないだろうか。(編集担当:井畑学)