「缶詰カレーが売れている」13年は前年比46.3%増の60億円市場となる見込み 

2014年05月24日 17:27

 食品業界では、大ヒット商品がなかなか生まれない中、缶詰カレーの需要が伸びている。日本人のカレー好きは相変わらずだが、なにゆえ「缶詰カレー」なのか。

 総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済は16日、2013年7月から2014年3月まで6回に分けて行った27分野402品目の加工食品国内市場の調査結果を総括分析し、その結果を報告書「2014年 食品マーケティング便覧 総市場分析編」にまとめたと発表した。

 この報告書では、国内加工食品市場に加え、2013年の業界動向、増税や原料価格高騰などコスト面の変化による市場への影響、リーディング企業33マーケティング分析などを行った。

 それによると、13年見込の加工食品市場は、前年比0.6%増の21兆5580億円となった。景気は回復傾向にあるものの、消費者の節約志向は依然として強く、店頭では激しい価格競争が続いており、12年よりも伸びが鈍化する模様。円安が急速に進んだことから原料価格が高騰し、価格改定の実施も多くみられた他、利幅が低下する低価格商品を補うためにプレミアム商品の強化を進めるメーカーが増えているという。

 大型ヒット商品が誕生しにくい中、消費者の潜在需要を引き付ける新機軸を持つ付加価値訴求商品が好調である。 14年は、消費税率引き上げによる加工食品市場全体への影響は不透明であるが、消費期限が長くまとめ買いが想定された調味料などは、増税前の新商品投入による需要獲得がみられた。

 また、増税後の需要減退防止策としては商品の価格据置や、増量でお得感を高める、節約志向を想定した低価格商品の強化、新しい価値提案と新商品展開による需要喚起、増税の価格改定に合わせた高付加価値商品の展開などが行われている。市場としては拡大が続くものの前年比0.1%増と微増にとどまると予測した。

 また、今回対象とした402品目の内、13年見込の市場規模が前年比15%増以上の注目市場は11品目。メディアへの露出増加によって拡大したものが5品目、メーカーの新規参入や新商品投入、既存商品の販売強化などメーカー主導による市場の活性化がみられたものが「缶詰カレー 和風メニュー専用合せ調味食品」、 「ホットケーキ・パンケーキ 自然解凍冷凍食品」、 「めかぶ 冷凍水ギョーザ 」、「冷凍お好み焼き チルドパスタ 」、シリアルフーズ ノンフライカップめん・袋めん」、「スティックタイププレミックス飲料 」の6品目となった。

 このうち1位の缶詰カレーは、2012年は41億円、13年は前年比46.3%増の60億円となる見込みである。 レトルトカレーへの需要流出で市場は縮小していたが、11年に発生した東日本大震災後の備蓄需要の高まりと、いなば食品「ツナとタイカレー」が投入されたことにより拡大に転じた。13年にはTVを始めとしたマスメディアに取り上げられたことで、認知度が向上し販売地域やチャネルが拡大、市場も増加が見込まれるという。

 このように、缶詰カレーの市場はいったん縮小したが、震災後はまた備蓄需要で拡大傾向にある。今でも日本人にはいざというときには、やはりカレーライスなのだろうか。(編集担当:慶尾六郎)