「20坪未満」「住宅街」「開店後2年以内」の飲食店は閉店しやすい傾向に

2014年05月29日 16:28

 開業後数年で潰れていく店が大半ともいえる飲食店運営だが、中でも閉店しやすい店には一定の傾向があることがわかった「飲食店.COM」を通じて飲食店の出店や運営の支援を行うシンクロ・フードの調査によると、「20坪未満」「住宅街に立地(住居立地)」「開店から2年以内」――の3点を満たす店舗の閉店が多い傾向にあることが明らかになった。

 閉店した店舗を営業年数別に見ると、1年未満で閉店した割合は34.5%、2年以内で閉店した割合は15.2%(回答数6494)。合計すると49.7%となり、約半数の飲食店が2年以内に閉店している。また、2008年から13年の間でそれぞれの営業年数の割合の変化を見ると、6年以上運営してきた店舗の割合が増加していた。6年以上運営している店舗の割合が08年では21.8%だったのが、32.1%と、10.3ポイント増加。短期間で閉店する店舗が多い一方で、長期にわたり安定して経営している店舗が増えていることもうかがえる。
 
 広さ別に見ると、20坪以下の店舗が62.7%を占めていた。20坪以下の店舗の割合は、物件の供給数が多いことが考えられるため、本来であれば物件の供給数も考慮する必要があるが、年度別に見ても08年では54.6%だったのが、13年では66.9%と12.3ポイントも増加。、供給数を考慮してもなお、20坪以下の閉店率が高まってきていることは明らかといえる。

 立地タイプ別に見ると、住居として住んでいる人が多い“住居立地”に位置する店舗の割合が42.6%を占めていた。08年と13年を比較すると、36.4%から44.7%と8.3ポイント増加しており、住居立地の閉店率が高まっていることがわかった。

 調査結果を受けてシンクロ・フードでは「”規模感は小規模(20坪未満)で、立地タイプは住居立地で、営業年数は2年以内の店” 」の閉店割合が高い傾向にあるとまとめている。

 さらにその理由として、「住居立地の客層は商業立地やオフィス立地に比べて、客の利用動機が捉えづらいため、周辺に住む世帯の家族構成や年齢層を把握し、利用動機をしっかりと意識した店作りをしなければ、失敗する可能性が高くなる」と分析。また運転資金については、「20坪以下の小規模の店舗の場合、より少ない開業資金で開業することができるが、十分な運転資金を用意していないケースが多く見受けられる」とし、安易な開業が短期間での閉店につながっていることを指摘した。

 飲食店については開店後数年で半数以上が潰れるといわれるなど、開業の難しさが指摘されている。だが自分で店を運営する魅力はリスクをとっても余りあるともいえ、少しでもリスクを減らすために、周辺リサーチなどを念入りにするといった地道な努力が求められるだろう。(編集担当:横井楓)