今月、2013年のエネルギー自給率が東日本大震災前(11年)の3分の1未満である6.0%に落ち込んだことが、経済産業省の集計でわかった。これは、福島第一原発後に原子力の利用が減少しているためだ。原子力を含む1次エネルギーの自給率は震災前の10年には19.9%あったが、原発事故のあった11年には11.2%と大きく落ち込んだ。今回の集計で、これまで原子力によって保っていた自給率の低迷が改めて明らかになった形だ。
エネルギー自給率は、電力等に使われる原料・燃料のうち、自国内で確保できる比率である。この自給率の集計では、資源を外国に頼らない太陽光・地熱・風力・水力などの自然エネルギーを中心とした「純国産エネルギー」に加え、原子力が「準国産エネルギー」と位置づけられ、自給分に加えられている。
その理由について経産省が公表しているエネルギー白書は、原子力の燃料となるウランは「エネルギー密度が高く備蓄が容易」「使用済燃料を再処理することで燃料として再利用できる」ために資源依存度が低いためと説明しているが、ここにこそ日本のエネルギー自給率が低迷する一つの原因が存在している。
この「準国産」エネルギーは、ふたを開けてみればその中身はウランとプルトニウムのことである。つまり、原子力発電のために作られたカテゴリー、それが「準国産」という曖昧な表現なのである。これまで経産省は、実際には原子力発電の燃料の濃縮ウランは100%輸入しているにも関わらず「準国産」などという都合のいいカテゴリーを作って自給率に加えてきた。そして、この「準国産」エネルギーも含めた自給率を国民に見せることによって「純」国産エネルギーの育成の必要性を見えにくくしてきたのだ。
このような自給率算出のからくりからは、原子力を少しでも「良く見せよう」とする経産省の思惑が透けて見える。経産省はこれまで、必要十分なエネルギーを適切な価格で継続的に確保する「エネルギー安全保障」の観点から原子力発電を推進してきた。しかし、今回の集計は原子力に頼ることは逆にエネルギー安全保障上のリスクとなることを明確に示している。「準国産」などという言い訳がましいカテゴリーは捨て、真の国産エネルギーをさらに拡大していくべきだろう。(編集担当:久保田雄城)