最新の電気自動車、自動運転技術発展の背景をささえるものとは?

2014年05月31日 20:48

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ロームは、車載用電源のロードロップアウト(LDO)レギュレータIC「BD4xxMxシリーズ」16機種を一挙に開発した

 5月21日から23日にかけ、日本最大の複合コンベンションセンター・パシフィコ横浜にて「人とくるまのテクノロジー展」が開催された。同展示会は、世界から自動車向けの最新技術・製品が集う日本最大の技術展。会場は、およそ9万人の技術者や業界関係者が来場して賑わいをみせたが、中でも、最新の電気自動車や安全化技術、自動運転技術などに注目が集まった。展示内容を見ていると、自動車の電気化、電装化が年々加速していることがよく分かる。

 自動車の電気化、電装化が進むということは、搭載される電子部品(例えばマイコンなど)の数も増えることになる。当然、それに伴って消費電力も増大し、電気自動車やHEVは消費電力が燃費に直結するため、部品一つ一つのさらなる低消費電力化が求められている。また、逆に考えれば、これだけ電装化が加速していても燃費が向上している背景には、電装部品や電子部品など各パーツ・開発メーカーの努力があるということだ。

 たとえば、半導体メーカー大手のロームは、車載用電源のロードロップアウト(LDO)レギュレータIC「BD4xxMxシリーズ」16機種を一挙に開発した。同シリーズは、ロームが得意とするアナログ設計技術を駆使することで、一般品の2分の1以下(無負荷時)となる消費電流を実現し、低消費電力化に貢献している。さらに回路の工夫により、セラミックコンデンサ対応とすることで、実装面積とコストの削減にも大きく貢献する。

 同社ではこれまで、カーナビなど情報系電源用途に最適な「BDxxC0Aシリーズ」を展開してきたが、ここにエンジン制御やAT制御、パワーステアリングなど、ボディ・パワートレイン系マイコンに最適な「BD4xxMxシリーズ」を加えることで、全43機種のラインナップとなり、車載向けLDOとしてはあらゆる用途への対応が可能になるという。

 電源の低消費電力化は昨今の燃費競争に注力する自動車メーカーだけではなく、実際に車に乗るユーザーにもメリットが大きい。エンジンが駆動している時は、オルタネータ(発電機)が駆動することで継続的に発電、もしくはバッテリーへの充電が行われているが、エンジンが駆動していない時は、当然の事ながら発電は行われず、キーレスエントリーや時計、各種ライト類の点灯などはすべてバッテリーから電力が供給されている。このため、消費電力が大きいとバッテリー上がってしまう可能性もある。

 ハイブリッドカーや電気自動車の市場が拡大し続けている中、電装部品・電子部品も、日本だけでなく、世界規模で省エネや人々の生活に貢献することが求められているのだ。(編集担当:藤原伊織)