新たな市庁舎の形~ハコモノからの脱却

2014年06月07日 09:45

 富山湾に面する氷見市。この地方自治体の新たな市庁舎が注目を浴びている。それはなぜか。体育館を再利用した新庁舎を建設したのだ。全国初の試みであり、現在、視察が殺到しているそうだ。

 そう、体育館。もともと高校の施設を活用したそうだ。築 40年以上の旧庁舎は老朽化が進み、2012年8月には「氷見市庁舎整備方針」を公開し、それに沿って建設が行われた。検討段階では、市庁舎(本庁舎)の老朽化 、庁舎の分散、駐車スペースの不足、バリアフリー化などが問題と認識され、耐震補強をせずに現庁舎を当面継続使用、現庁舎を耐震補強、現在地で新築 、旧市民病院建物を改修して再利用 、旧市民病院敷地で移転新築、旧高校校舎を改修して再利用、旧高校体育館を改修して再利用との7つの案を比較検討した。費用対効果、窓口のワンストップ化、駐車スペース不足の解消、防災拠点の機能強化などから評価がされ、高い評価の体育館の再利用が選ばれた格好だ。

 住民との対話を促進し、協働を進めることを目的にフューチャーセンターも内部に設置したことや体育館の2階に市長室や各課の執務室、中央には庁議室(幹部会議用)を設置、ドアを設けずにオープンな空間としたところも評判を呼んでいる。職員にとっては執務環境の改善でモチベーションがあがる。また、効率面であるが、鉄骨・鉄筋コンクリー ト2階建ての体育館と鉄筋コンクリート3階の校舎棟を改装したわけだが、総工費は20億弱。国の補助を活用しており、市の実質負担額は約8億円だそうだ。

 市のウェブサイトには「「耐震補強か、新築か」いくつものシミュレーションを繰り返し」たという苦労、「防災、市民サービス、そして財政負担という三つの課題を同時に解決することができました」との文言も並ぶ。しかし、「市民サービスという課題」というのはどれくらいのものか。住民は年平均で何回市庁舎に赴くのか。庁舎を建設するという従来の発想を変えて、庁舎をできるだけ作らないとか、機能を分散させるとか、もしくは、空き店舗を活用するなどの視点はなかったのか。

 この盛り上がりに調子に乗ることなく、まちづくり上の政策課題の解決に市庁舎の機能がどのように貢献したのか、いつか検証してもらいたいものだ。(編集担当:久保田雄城)