既婚男女に対する調査結果によると、7割以上が子供2人以上が理想と回答しているのに対し、同じく7割が現実に2人目を生むには「2人目の壁」があると考えていることがわかった。「2人目の壁」は「経済的理由」が最多で、障害の解消には「経済面でのサポート」に加えて休職や復職をしやすくする「仕事面のサポート」、長時間労働解消など「ワークライフバランス」といった改善が必要との声が寄せられた。タマホームが実施した調査で明らかになった。
調査はタマホームが2013年に立ち上げた運動体である「1 more Baby応援団」が実施したもの。同応援団は、日本の少子化問題をとらえ、「もう1人欲しい」という家族の思いを支援する機運を社会全体に広げていくことを目指して立ち上げられた。
結婚14年以下の男女2961人を対象とし、各都道府県および既婚子供なし、子供1人、子供2人以上の回答数が均一になるように配慮して調査を行った。
調査によると、既婚者の76.7%が「子供2人以上が理想」と考えていた。その一方で生活費や教育費に関連した家計の見通しや、仕事等の環境、年齢等を考慮し、第2子以降の出産をためらう「2人目の壁」について存在すると思う人は、全体の70.8%に上る。多くの人が第2子以降の出産に前向きなものの、現実的には大きなハードルがあることがわかる。
「2人目の壁」を感じる理由を尋ねた結果、最も多かったのは「経済的な理由」で、9割近い88.5%。それ以外には、「年齢的な理由」(46.6%)「第1子の子育てで手いっぱい」(42.7%)が続く。
一方で、「2人目の壁」を解消するために有効だという回答項目は、「経済的なサポート」(86.2%)が最多。次いで休職や復職をしやすくする「仕事面のサポート」(49.6%)、自分および配偶者の長時間労働の改善など「ワークライフバランス」(48.1%)、保育所整備など「社会環境の整備」(46.8%)の順となった。
また、母親の就業別にみると、フルタイム母は、「経済的なサポート」(84.8%)に続いて「休職・復職のしやすさ」(73.9%)「ワークライフバランス」(58.3%)と、仕事面での制度を整えることを求めているのに対し、母が専業主婦の場合は「経済的サポート」(87.2%)に続いて「保育施設の充実」(49.0%)、「育児ストレスなどの対応するコミュニティ」(48.8%) となり、母親の就業状況によって、異なった課題が浮き彫りになった。
住民から子育てしやすいという声が多かった地域は、第1位は富山県91.5%、2位福岡県91.1%、3位鳥取県91.0%、4位鹿児島県88.6%、5位沖縄県86.7%の順となった。
政府の有識者会議は50年後にも人口1億人を維持する必要があると提言した。これを受けて政府では第3子以降の出産・育児支援を検討しているが、そもそも未婚率が上昇を続ける現状で、第3子以降の育児支援がどれほど効果的か。疑問はつのるばかりである。(編集担当:横井楓)