女性の活用を目指し、政府で配偶者控除等の見直し議論が進められている。主婦を対象とした意識調査によると、配偶者控除などが廃止された場合、フルタイム勤務を希望する人の割合が倍増することがわかった。一方で配偶者控除や扶養枠の廃止によって、働く主婦層が増加するかどうかについては、配偶者控除と扶養枠のいずれが廃止されても「増加する」と「増加しない」と思う人の割合がほぼ同じという結果にもなった。
調査は主婦の人材サービスに特化した「しゅふJOB」(運営会社ビースタイル)が、サービスの登録者551人を対象に実施した。
政府による配偶者控除廃止の検討を「詳しく知っている」は21.6%、「知っているが詳しくはない」73.1%で、合せて約95%が控除廃止を知っている結果となった。
配偶者控除や扶養枠が廃止されると、働く主婦層は増加するかどうかたずねたところ、「配偶者控除と扶養枠廃止のどちらでも増加する」27.6%、「配偶者控除と扶養枠廃止のどちらでも増加しない」27.4%がほぼ同率となった。次いで「配偶者控除廃止では増加しないが扶養枠廃止では増加する」20.0%、「配偶者控除廃止では増加するが、扶養枠廃止では増加しない」11.3%となっていた。
希望の勤務体系は、パートタイム勤務が65.7%と6割以上を占めていた。しかし、仮に配偶者控除や扶養枠が廃止された場合の勤務形態は、パートタイムが65.7%から39.7%と大幅に減少。その一方でフルタイムは13.1%から25.2%へとほぼ倍増した。
配偶者控除などに対する考え方(複数回答)では「子育て支援などほかの手当を検討すべき」39.4%、「配偶者控除は現状のまま残すべき」37.4%が多かった。
アンケートに寄せられたフリーコメントでは「廃止になったからといって簡単に働けるわけではない」「親族にも頼れず子供がいると仕事を休みにくい」など仕事と子育て両立の難しさを訴える声がある反面、「子供にお金がかかり、周りでは年間103万円以上働きたい人が大半」など配偶者控除などが労働を抑制しているとの声も寄せられている。
女性の活用といえば聞こえがいいが、実現には保育所問題だけでなくパートナーの労働環境や職場の意識改革を始め、多方面での取り組みが必要となる。とはいえ増え続ける社会保障費の負担によって国の財政は悪化の一途をたどっており、放置すれば子供達の未来にさらなる悪影響を与えることは間違いない。これ以上未来へつけを回さないために、女性の活用も含めた対策は待ったなしといえる。(編集担当:横井楓)