7月にも訪日か モディ新首相で印日関係はどう変わる

2014年06月12日 19:07

 インドのナレンドラ・モディ新首相の初外遊が隣国ブータンに決まった。5月の総選挙で選ばれたばかりの彼の外交政策に、早くも世界中から注目が集まっている。

 モディ首相は、インド西部クジャラート州首相時代に自由主義経済をもたらし、雇用の拡大やインフラ整備を行った。それが若者を中心に支持を集め、今回の総選挙ではモディ氏を筆頭とするインド人民党が歴史的な勝利を収めた。

 モディ首相の掲げる政策は何よりもまずインドの経済改革。大企業を中心に新しい雇用を生み出し、世界各国からの投資を呼ぶこむ公算だ。そしてモディ首相のもう一つの特徴に、ヒンズー至上主義・反イスラム主義がある。左派寄りだった前与党に比べ、過激な言動も多く、多少強硬でも改革を推し進めて行く姿勢がうかがえる。こうした政策と特徴、誰かを思い浮かべる方も多いのではないだろうか。経済政策を第一とした強硬なナショナリスト。そう、安倍晋三首相だ。事実、モディ首相の経済改革は「モディノミクス」とも呼ばれている。

 モディ首相と安倍首相は、2007年にも日本で会談を行っており、以前から良好な関係を築いている。2人はツイッター上でフォローし合い、互いに選挙に勝った際には祝福のメッセージを送り合ってもいるようだ。それだけに、安倍首相としてはモディ首相の訪日を心待ちにしているのだろう。モディ首相の初外遊先はブータンに決まったが、そこから間を置かず、7月上旬の訪日で調整が続けられている。

 もちろん仲が良いだけではなく、政策面で今インドが日本にとって非常に重要なポジションにいることは間違いない。モディノミクスが成功すれば、世界の投資先は中国からインドへと移るだろう。アジア全体を大きな経済圏として考えた時、そのためには日本とインドの連携が欠かせない。

 安全保障の面でも、安倍首相としては日米とともにインドにも、中国に対し秩序を保つよう牽制する役割を担ってほしいと考えているだろう。しかしモディ首相は親日であると同時に親中でもあり、中国の海洋進出などに懸念は抱いているものの、モディ氏の首相就任によって印中関係は前進するとの見方もある。

 一方で、モディ首相はクジャラート州でヒンズー教徒がイスラム教徒に対し暴動を起こした事件に関連して、米国からビザの発給を拒否された経験がある。現在その措置は解かれているものの、米国に対する彼の不信感は未だ根強い。

 こうした過去の事柄からも、モディ首相が日米中それぞれに対し、どういったスタンスで外交を行うかは、今後のアジアひいては世界の中で非常に大きなポイントになると考えられている。大国インドと蜜月関係を築くのはどの国になるか、注目の外遊は6月下旬から始まる予定だ。(編集担当:久保田雄城)