NTTドコモ<9437>は25日、2600億円余りを出資しているインドの携帯電話会社に関して、収益が計画を大きく下回りこれからも改善の見通しが立たないとして、その携帯会社の株式すべてを売却し、事実上インド市場から撤退する方針を発表した。
NTTドコモが出資しているのは、持分法適用会社のインド通信事業者「タタ・テレサービシズ(TTSL)」で、こちらが2014年3月期に所定の業績を挙げることが出来なかったら、保有する株式のすべてを売却するためのオプションを6月に行使するとしている。こうした事業撤退による損失額は未定だが、しかしNTTドコモは経営責任を明確にするため、加藤薫社長をはじめとする役員34名の賞与を減額することを発表。
09年3月に、NTTドコモは「タタ・テレサービシズ」に2523億円を出資し、11年の5月にはさらに144億円追加出資し、その保有比率は3月31日の時点で26.5%だった。しかしそうして多額の出資を行っていたにも関わらず、インド市場における厳しい競争や通信免許の取り消しなどにより、その業績は低迷していた。すでに減損処理は進められており、14年3月期も関連損失を827億円計上している。また「タタ・テレサービシズ」の簿価は448億円にまで下がっている。
NTTドコモは、「タタ・テレサービシズ」が14年3月期に所定の業績指標を達成することが出来なかった場合には、保有する「タタ・テレサービシズ」の株式を取得価格の50%、もしくは公正価値のどちらか高い価格で売却することの出来る買い手の仲介を、タタ・グループの持ち株会社である「タタ・サンズ」に要求する権利を得ることになっている。
そしてNTTドコモが同日に発表した14年3月期の連結決算によれば、売上高にあたる営業収益は前年比0.2%ダウンの4兆4612億円であり、営業利益は前年比2.1%ダウンの8191億と、減収減益という結果であった。
国内での携帯電話事業が伸び悩んでいるなか、NTTドコモは契約者数が9億人を超える、中国に次ぐ大市場であるインドに参入したものの、今回の発表によりその市場から5年ほどで撤退する見通しが濃厚となった。(編集担当:滝川幸平)