東レが中国進出を加速 上海での研究・技術開発の新体制を確立

2014年06月19日 07:18

 東レ<3402>は16日、中国の東麗先端材料研究開発(中国)有限公司(Toray Advanced Materials Research Laboratories (China):TARC)に新研究施設を完成させ、上海を拠点とする研究・技術開発の新体制を確立したと発表した。これにより、中国での製品開発・技術サービス機能を強化し、中国事業の拡大を加速させる。

 TARCは2012年1月に上海で発足し、樹脂、フィルム、炭素繊維複合材料、電子情報材料、水処理・アメニティーの各事業分野の戦略に基づいた中国事業拡大のための研究・技術開発拠点。今回完成した研究施設は、延べ床面積6725m2(鉄筋コンクリート造3階建て)の新建屋に、実験室、試験工場、分析室などを備えている。フィルム、炭素繊維複合材料、電子情報材料などの製品開発・技術サービス機能を充実させるため、成形機や印刷機などの試作・分析・評価の設備を導入している。

 東レは、2002年に中国での最初の研究・技術開発拠点である東麗繊維研究所(中国)有限公司(Toray Fibers & Textiles Research Laboratories (China)、略称:TFRC)を江蘇省南通市に設立した。続いて、04年には上海にTFRCの分公司を設置、これを母体として12年1月にTARCを発足させ、中国における研究・技術開発拠点をTFRCとTARCの2社体制とした。

 また、南通に繊維の生産/研究・技術開発が一体となった体制を確立しており、TFRCはこの体制を生かして、東レグループの繊維製品をグローバルに展開するための研究・技術開発拠点として取り組みを充実させている。一方、上海に拠点を置くTARCは、東レの営業拠点があり日本からのアクセスが良く、東レグループ各社が連携して中国のユーザーへアプローチすることが容易であること、また、優秀な即戦力人材を集めやすいなどの地の利を生かし、東レの中国における先端材料の研究・技術開発の拠点として、今後さらなる体制強化を図る方針だ。

 東レは、中期経営課題「プロジェクトAP-G 2016」において、持続的に事業収益拡大を実現する企業グループへの飛躍を目指し、今後大きな経済成長が見込まれるアジア・新興国および米州の成長を取り込む「アジア・アメリカ・新興国事業拡大(AE-II)プロジェクト」を基本戦略の一つとしている。TARCの拡充は、このAE-IIプロジェクトの一環である。(編集担当:慶尾六郎)