低迷する国内スポーツカー市場にインパクトを与えるべく「変える」をコンセプトに、生産、営業から全てにおいてチャレンジしたという新型コペン。エコカーもいいが、時にはこんな車を乗りこなすのもいいだろう。若者だけではなく、ちょい悪オヤジの心をくすぐりそうな車だ。
ダイハツ工業<7262>は19日、軽自動車のオープン車「コペン」の新型車を発売した。強化した金属製の骨格をベースに、ドア以外の外板に樹脂を組み合わせた。ボンネットやトランクなど11のパーツを自由に着せ替えができるのが特徴だ。コペンは2012年に生産を中止したが、若者など新たな顧客層を掘り起こして好調な軽自動車販売に弾みをつけようと全面刷新し復活を果たした。
コペンは2人乗り。「コペンローブ」と「コペンXモデル」(今秋発売)の2種類を用意。電動開閉式のトップを採用した。エンジン排気量は658ccで、64馬力。価格は無段変速機(CVT)車が179万8200円、マニュアル車が181万9800円。マニュアル車も用意されるのがうれしい。同社の三井正則社長は19日の記者会見で「走る楽しさを体感し、自分らしさを表現して欲しい」と語った。
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が5日発表した5月の車名別販売台数は、ダイハツ工業の軽自動車「タント」が2か月連続で首位だった。軽自動車以外では、ハイブリッド車(HV)モデルが販売の約6割を占めるホンダ<7267>の「フィット」が3位、トヨタ<7203>の小型HV「アクア」が5位、HV「プリウス」は7位だった。このように販売台数上位は軽自動車やエコカーが占めている。
近年、日本の自動車製造各社は経済性と安全性、快適性を積極的にアピールしてきた。その結果、「車を操る楽しさ」をアピールする車が極端に少なくなってしまった。その楽しさを求める顧客は確実に存在する。こうした顧客層の一部は輸入車という選択肢を選んだ。しかし、最近になってトヨタと富士重工業<7270>は小型スポーツカーを共同開発し、それぞれ「86」と「BRZ」として市販するなど、楽しさを求める顧客の取り込みに力を入れだした。
いかに少ない燃料消費で安全かつ快適に移動するかという価値観で車を選択するのも悪くはない。しかし、コペンのマニュアルトランスミッションを駆使し、高まるエンジン音と刺激的な排気音、そして風の音を聞きながらワインディングロードを駆け抜ける姿を想像してみると、実に爽快な気分だ。(編集担当:久保田雄城)