公明党がどこまで政府自民の暴走を抑制できるか

2014年06月22日 10:40

集団的自衛権の行使容認をめぐり、安倍総理と自民党は7月上旬の総理外遊までには閣議決定に持ち込みたい意向だ。しかも、自民党は与党協議で「集団的自衛権」だけでなく、「集団安全保障」による武力行使の容認まで提案する事態になっている。憲法9条の形骸化が現実味を帯びる中、公明党がどこまで政府・自民の暴走を抑制できるのか、今後、数週間の動きが特に注目される。

 議席の多数を占める巨大与党の下で、集団的自衛権の行使容認という憲法に直接かかわる問題に存在感をほとんど示せていない野党議員の中からは公明党への期待を明らかに示している議員もいる。

 社民党国対委員長の照屋寛徳衆議院議員(弁護士)は党のコラムで「私は『平和の党』公明党に期待したい。集団的自衛権行使容認を巡る与党協議で安易な妥協をして欲しくない」とし「譲れないことは、譲ってはならない。自公連立政権からの離脱や独自路線の確立も視野に、自民党の『下駄の雪』になることを拒否して欲しい」とエールを送る。

 照屋議員は「集団的自衛権を巡る与党内合意と閣議決定は政府・自民党は閉会後も協議を続行し、7月4日を目途に閣議決定し、秋の臨時国会に関連法案を提出しようと目論んでいる」と、自民党の石破茂幹事長が「閣議決定ができて初めて法律案の策定に入る。自衛隊法の一部改正を軸とするものになると思うが、夏の間に法案化作業を進めることになる」との発言に符号する見通しを示す。

 そのうえで照屋議員は「公明党には平和の党として、憲法の平和主義と立憲主義を破壊する解釈改憲に反対し、初志を貫いてもらいたい」と強い抑制機能を期待した。

 また、日本共産党の志位和夫委員長は「集団的自衛権だけでなく、集団安全保障による武力行使容認にまでなれば、イラク戦争のような無法な戦争に自衛隊が参戦し、武力行使する道が開かれる。『武力行使を目的にした戦闘に参加しない』との首相答弁はどうなったのか。憲法9条削除に等しい暴論」と強く批判。

 安倍総理・自民党の提案で与党協議の論点がころころ変わった経緯からみても「集団的自衛権の行使容認」を限定的とする歯止めがいかに担保にならないものかを浮き彫りにしており、憲法改正手続きをふむか、でなければ、解釈変更を争点とした総選挙での国民参加の手続きをとることが最低条件といえよう。(編集担当:森高龍二)