【日経平均】円高進行で大台割れの手前まで行くが67円高

2014年06月30日 20:09

 燃料電池、水素ステーション関連の三菱化工機<6331>は前場は安かったが14円高で年初来高値を更新し売買高2位、売買代金4位。しかし岩谷産業<8088>は終盤売られて4円安だった。セルロースナノファイバーの星光PMC<4963>が59円高、ソーラーのサニックス<4651>が64円高など、中・小型のテーマ銘柄がつまみ食いされていた。

 ゼネコンの大成建設<1801>と鹿島<1812>は、アルジェリアの高速道路工事の代金未払い問題で国際仲裁機関に仲裁を求めたが大成建設は7円高、鹿島は5円高。5月の新設住宅着工戸数は15%減で3ヵ月連続マイナスでも、賃貸住宅は来年1月の相続税増税対策に加え海外の投資マネーも流入し建設が急増中という記事が出て、大和ハウス工業<1925>は41円高、積水ハウス<1928>は28円高になっていた。

 日本製紙<3863>は4~6月期の営業利益が値上げ効果で6割増という業績観測記事で22円高。ジェネリック(後発)医薬品の沢井製薬<4555>は生産を2倍に増強と報じられ60円高。味の素<2802>はスイスの食品原料の製造企業に3000億円前後で買収提案と報じられ25円高。アサヒGHD<2502>は46円高で年初来高値更新。エルニーニョ懸念後退でビール業界も助かる。

 高島屋<8233>は3~5月期の営業利益2ケタ増益を確保したが3円安。消費増税前の3月の駆け込み需要は4~5月の反動減を補って余りあるというパターンは、他の百貨店銘柄も似通っている。ニトリHD<9843>は27日に3~5月期の営業利益が16.6%増の219.8億と発表し過去最高益で、250円高で5日続伸し年初来高値更新。引越シーズンは書き入れ時で、商品の入れ替えで単価がアップし利益が会社計画を上回った。カジュアル衣料小売のハニーズ<2792>は5月期決算見通しを下方修正。国内は商品単価の引き上げが客数減を招き、中国は販売競争の激化が影響したという。それでも下げ渋り値動きなしまで戻した。前週はエルニーニョ懸念後退もあり5日続伸したしまむら<8227>は、27日発表の3~5月期決算が減益だったので180円安で値下がり率12位。それでも「小売の反動減は思ったほどでない」というのが市場関係者の共通認識になっている。

 日経新聞に「民間の学童保育に予約が殺到し3年後まで満杯」という記事が載った。記事がとりあげた東急<9005>は6円高。学童クラブを運営するJPHD<2749>は20円高、学童保育所を運営する明光ネットワーク<4668>は11円高、学童施設も持っているJPNHD<8718>は1円高だった。

 ゲーム・コンテンツ関連ではKlab<3656>が72円高で値上がり率12位。27日に6月期の営業利益見通しを18億円から24.5億円に上方修正したデジタルガレージ<4819>は120円高。IPO好調でベンチャー・キャピタルの実績が計画を大きく上回り、ウェブマーケティング事業も増益という。

 新興市場も日経ジャスダック平均が0.99%、東証マザーズ指数が2.26%上昇。カルナバイオ<4572>は11時、SBIバイオテックからがんを標的とする「Cdc7/ASKキナーゼ阻害薬プログラム」の知的財産権を取得したと発表しストップ高まで上昇し終値は150円高。SBIHD<8473>は16円高だった。ゲーム関連のブロッコリー<2706>も65円高で年初来高値更新と買われていた。

 この日の主役は、春に格安スマホ発売で注目された「MVNO(仮想移動体通信事業者)」関連銘柄。総務省が携帯キャリア大手の「SIMロック」による利用制限を2015年度にも解除させる方針と報じられた。端末を変えずにキャリアの乗り換えが容易になり、MVNOにとってはビジネスチャンス。代表銘柄の日本通信<9424>はストップ高の150円高で年初来高値を更新。ヨドバシカメラと組んで格安スマホを7月1日に発売するニュースもあった。フリービット<3843>は183円高、IIJ<3774>は125円高、ワイヤレスゲート<9419>は245円高、エキサイト<3754>はストップ高の300円高。一方の携帯キャリア大手のほうはNTTドコモ<9437>6円安、KDDI<9433>5円安、ソフトバンク16円安と軟調だった。MVNOは3Gなので機種変更する前の3G機も使える可能性があり、中古スマホの流通も盛んになりそうだ。(編集担当:寺尾淳)