【日経平均】円高進行で大台割れの手前まで行くが67円高

2014年06月30日 20:09

 前週末27日のNYダウは5.71ドルの小幅高。NASDAQ総合指数は18ポイント上昇した。中東情勢の混迷がアメリカ国内のガソリン価格に影響しはじめた他、デュポンが4~6月期と通期の営業利益見通しを下方修正した影響が波及したが、ミシガン大学消費者信頼感指数改定値が市場予測を上回って景気先行き懸念を和らげ、終盤にラッセル指数の銘柄入れ替えに伴う買いが入り最後はプラスに浮上した。デュポンは3.3%下落。好決算のナイキは1.1%上昇。30日朝方の為替レートはドル円が101円台前半、ユーロ円が138円台前半で前週以来の円高基調が続いていた。

 取引時間前に発表された5月の鉱工業生産指数速報値は+0.5%で、4月の-2.8%から改善したが市場予測の+0.9%には届かなかった。シカゴCME先物清算値は15140円。上半期末で「ドレッシング買い」の期待もある日経平均は64.45円高の15159.45円で15100円台を回復して始まった。午前9時3分に15177円でピークをつけた後は為替の円高に伴って下がる一方。9時55分に15105円まで下げた。10時台も円高の進行が止まらずさえない動きが続き、上海、香港市場がプラスで始まっても反応せず10時30分を回ると先物主導でTOPIXとともにマイナスに落ち、10時54分に15052円まで下げる。中・小型株は堅調でも主力株が売られた。それでも11時台はプラスに戻し、前引は15070円だった。

 円高の進行が止まった後場は前引より少し高く始まり、TOPIXはプラスで再開。3分後には日経平均もプラスに浮上し15100円台を回復した。前場と逆に徐々に水準を切り上げ、1時台は15120~15150円のレンジでの落ち着いた値動き。それが2時台も続いたが、大引け直前に上昇して終値は67.10円高の15162.10円と反発。5月末から529.72円上昇して6月の取引を終えた。日中値幅は125円。TOPIXは+9.41の1262.56でほぼ高値引け。売買高は21億株で20億株を超えたが売買代金が1兆8212億円で2兆円に届かなかったのは、中・小型株の商いが盛んだったため。

 東証1部の値上がり銘柄は1568で全体の86%を占め、値下がり銘柄は178。33業種別騰落率は31業種が上昇し下落は2業種のみ。プラス上位はその他金融、ガラス・土石、金属製品、パルプ・紙、小売、食料品など。プラス下位は保険、不動産、情報・通信、海運など。マイナス業種は鉱業、証券だった。

 日経平均採用225種は値上がり180銘柄、値下がり40銘柄。プラス寄与度1位はアステラス製薬<4503>、2位はファナック<6954>で、ともに+3円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-11円。2位はソフトバンク<9984>で-1円。ともに前場、日経平均を大台割れの手前まで追い込んでいた。

 メガバンクはみずほ<8411>は2円高、三菱UFJ<8306>は3円高だったが、三井住友FG<8316>は16円安と軟調。ノンバンク高騰の流れで新生銀行<8303>が売買高7位に入り9円高だった。甘利明経済財政・再生担当大臣が前週末に福岡県久留米市で講演し、「NISAの枠を100万円から200万円に拡大してもいいのではないか」と発言したが証券はマイナスのセクターになり野村HD<8604>は3円安、大和証券G<8601>は5円安。しかしNISAと言えばネット証券で、松井証券<8628>は9円高だった。

 その他金融は業種別騰落率トップになりノンバンク銘柄が値上がり率ランキング上位を独占。1位のアコム<8572>は一時ストップ高の65円高で年初来高値更新、2位のアプラスF<8589>は19円高、3位のアイフル<8515>は63円高で年初来高値更新、4位のジャックス<8584>は46円高。オリコ<8585>は10円高で年初来高値更新。売買高ランキングでは1、3、5、8位、売買代金ランキングでは1、7、8位を占め、アイフルは売買高と売買代金の2冠王だった。

 トヨタ<7203>はミシガン大学、GMなどと共同でアメリカに自動運転車の実験場を建設する材料があり36円高。ホンダ<7267>は、創業者の本田宗一郎氏の夢だった小型ジェット機「ホンダジェット」量産1号機がアメリカで初飛行に成功したという話題があり15円高。マツダ<7261>は5年前のリコールをめぐり原因の部品を製造した東海ゴム工業<5191>に対し156億円の損害賠償訴訟を起こすと報じられた。マツダは3円安、東海ゴム工業は2円安。自動車の電子部品の国際規格で日本がISO幹事国になるニュースなど、自動車大手は話題が多かった。

 電機大手は東芝<6502>は1円安だったが日立<6501>1円高、シャープ<6753>5円高、パナソニック<6752>8円高、富士通<6702>9円高、ソニー<6758>3円高とおおむね小幅高で終えていた。菊水電子工業<6912>は8万株、5000万円上限の自社株買いを好感されて19円高だった。

 鉄鋼各社は7~9月の原料炭調達価格交渉で現状の価格を維持でき、新日鐵住金<5401>値動きなし、神戸製鋼<5406>は1円高、JFEHD<5411>は2円高。石炭火力発電所が増えても高炉メーカーは石炭の国内最大のユーザー。東海カーボン<5301>は12月期の利益予想を下方修正して6円安だった。