【日経平均】アメリカ雇用統計の大幅改善を受け88円高

2014年07月04日 20:17

 3日のNYダウは午後1時までの短縮取引で、92ドル高の17068ドルと史上初めて終値が17000ドルを超えた。NASDAQも28ポイント上昇して反発。ECB理事会は史上最低の政策金利0.15%を据え置き、記者会見でドラギ総裁は必要なら量的緩和政策をとる用意があると言及した。6月のアメリカの雇用統計は、非農業部門雇用者数が5月から28.8万人増加、失業率は0.2ポイント低下して6.1%。市場予測を上回って大幅に改善し、NY市場もNASDAQも全面高。しかし満月にもむら雲。イエレンFRB議長がいつも気にする「雇用の質」は平均時給の伸び率が前年比2.0%で5月から0.1ポイント低下し、労働参加率は5月と同じ62.8%と依然低水準でフルタイム雇用は減った。あら探しをする勢力に突っ込まれそうな部分だが、金利上昇懸念、インフレ懸念を冷まして「ゴルディロックス」の適温を維持できるという見方もあった。アメリカの株式市場は6日までの3連休入り。頑固者のアメリカの長期金利もさすがに上昇して、4日朝方の為替レートはドル円は102円台前半、ユーロ円は139円近辺で、ドル高・円安が進んでいた。

 CME先物清算値は15445円。「欧米の株価は全面高で、アメリカの長期金利が急上昇せずにドル高・円安」という好環境で、日経平均は142.08円高の15490.37円と15500円に接近して始まる。先物は15500円台にタッチしTOPIXは1280台を回復した。前日と同じ「寄り天」だが下落幅は小さく、9時台は15442円止まり、10時台は10時22分の15420円止まり。とはいえ、プラス圏でも梅雨空のように上値はどんより重い。上海はマイナス、香港はプラスで始まるが15440円近辺で小動きを続け、前引はジャスト15440円だった。

 後場も15430~15440円台の値動きが続く。アメリカは3日午後から独立記念日休暇に入り、ヨーロッパも現地時間午後6時からW杯準々決勝フランス対ドイツ戦があるためか海外投資家の売買が細り、為替は動かず上押しできる材料も見当たらず、薄商いで変化の乏しい相場になる。膠着し「閑散に売りなし」のまま2時台は15420円台まで水準を下げたが、大引け間際に上昇し終値は88.84円高の15437.13円。4勝1敗、前週末6月27日終値から342.13円上昇して今週の取引を終えた。日中値幅は70円と小さかった。TOPIXは+6.65の1285.24で日経平均ともども「寄り天」。売買高は19億株、売買代金は1兆6628億円だった。

 東証1部の値上がり銘柄は1135で全体の62%を占め値下がり銘柄は507。33業種別騰落率は値上がりが27業種、値下がりが6業種。プラス上位は非鉄金属、鉄鋼、空運、精密機器、ガラス・土石、パルプ・紙など。マイナスは鉱業、保険、石油・石炭、電気・ガス、建設、その他製造だった。

 日経平均採用225種は値上がり171銘柄、値下がり40銘柄。プラス寄与度1位は東京エレクトロン<8035>で+6円、2位はセブン&アイHD<3382>で+3円。マイナス寄与度1位は中外製薬<4519>で-1.10円、2位はJT<2914>は-0.78円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>値動きなし、三菱UFJ<8306>1円高、三井住友FG<8316>37円高。証券は野村HD<8604>値動きなし、大和証券G<8601>13円高。SBIHD<8473>は54円高と大幅に上昇した。6円安のアイフル<8515>は、売買代金は1位だったが売買高1位はみずほに譲り、2冠王は4日連続で途絶えた。

 トヨタ<7203>は33円高。100人以上の期間従業員を今年度、正社員に登用するニュースがあったが、2007年度は1250人を登用した実績がある。ホンダ<7267>は35円高、日産<7201>は9円高、マツダ<7261>は6円高、三菱自動車<7211>は22円高。シャープ<6753>は300人を解雇してヨーロッパの家電事業から撤退し、そのTV事業は台湾企業に売却すると報じられリストラ好感で3円高。家電見本市「CEATECジャパン」の出展見送り検討が伝わったソニー<6758>は24円高。パナソニック<6752>は11円高、NEC<6701>は4円高で年初来高値更新。売買高6位、売買代金5位の日立<6501>は24円高と大幅上昇したが、東芝<6502>は2円安と逆行安した。

 電気測定機の日置電機<6866>は12月期の通期営業利益見通しを13.6億円から19.8億円に増額修正。市場予測の16.4億円を上回り、年間配当予想も10円引き上げて20円として116円高で年初来高値を更新し値上がり率16位。JVCケンウッド<6632>は26円高で値上がり率5位。パイオニア<6773>は売買高11位に入り18円高で年初来高値を更新し値上がり率14位。サンデン<6444>は27円高で年初来高値更新。クラリオン<6796>は売買高13位に入り6円高で年初来高値更新。アルパイン<6816>は65円高で年初来高値更新など、カーナビ、カーオーディオ、カーエアコンなど「車載電気機器」のテーマ物色がなおも続いていた。

 社債登録枠1.5兆円を新規設定したソフトバンク<9984>は22円高。コマツ<6301>は18円高。しかし建設大手は大成建設<1801>9円安、清水建設<1803>8円安、大林組<1802>2円安、鹿島<1812>6円安と軟調。熊谷組<1861>は6円安で値下がり率12位。NY原油先物価格が6日続落し、国際石油開発帝石<1605>は24円安、JXHD<5020>は4円安、出光興産<5019>は22円安、東燃ゼネラル石油<5012>は4円安と石油関連はふるわなかった。