【今週の展望】「狭間の週」は決め手を欠いて小動きが続く

2014年07月06日 20:08

 しかし、今週はファンダメンタルズ的にもテクニカル的にも、上値追いにも下値押しにも決め手が乏しい週である。

 前週で日本の日銀短観もアメリカの雇用統計も通過して、日本も海外もこれといった重要な経済指標の発表がない。8日の景気ウォッチャー調査も9、10日の中国の経済指標も以前よりはインパクトが弱まっている。それは11日のマイナーSQも同様。14807円の「まぼろしのSQ値」が出現した6月のメジャーSQを通過して、6月後半は先物、オプションの需給が改善した。昨年12月の株価上昇期の制度信用取引の信用買い残も、6ヵ月が経過した前週でほぼ解消した。

 そのおかげで、昨年の今頃の東京市場を頻繁に襲っていたゲリラ豪雨ならぬ「ゲリラ急落」が前週は全く影を潜め、日経平均も為替レートと同様にボラティリティが小さくなっている。前週は日中値幅が100円を下回った日が2日あった。今週11日はオプションとミニ先物だけのマイナーSQでもあり、9日の「荒れるSQ週の水曜日」への恐怖心はおそらく低下しているだろう。

 決算発表も、国内では2月期決算銘柄のメジャーどころの3~5月期決算が前週でほぼ終わり、3月期決算銘柄の4~6月期決算はまだ先。大物では10日のファーストリテイリング<9983>があるが、これは株価が業績とほとんど遊離している「孤高の銘柄」だから別格。アメリカ主要企業の4~6月期決算も今週は先行組のアルコアやウェルズ・ファーゴがあるが本格化するのは来週から。今週はそんな「狭間の週」である。

 4日終値時点でのテクニカルポジションを確認すると、終値の15437円の下に5日移動平均の15328円、25日移動平均の15169円、200日移動平均の14841円、75日移動平均の14761円があり、日足一目均衡表の「雲」は1000円以上も下にある。しかし「買われ過ぎ」の状態は、株価が修正されなくても時が解決してくれる。6月は160を超えた時期もあった騰落レシオは143まで、6月20日には+3.6%もあった25日移動平均線乖離率は+1.7%まで低下し、落ち着いてきた。そのために今週の下値押しは限定的になり、多く見積もっても268円下の25日移動平均の15169円までだろう。為替の円高が急進して1ドル=100円割れするような相当な悪材料が突然出現してこない限り、15200円割れという事態はないとみる。

 しかし、今週は上値のほうも追えない。52円上の15489円にはボリンジャーバンドの「25日移動平均+2σ(第2標準偏差)」のラインがあり、統計学の理論ではプラス方向でもマイナス方向でも第2標準偏差の範囲を超えられる確率は5%しかないという。4日の高値が15490円で、先物は超えていた15500円にタッチできなかったのは、これが上値抵抗線になっていたからだと思われる。今週はこのレジスタンスラインまで来ると、上値の偵察はサイドカーの独逸兵のようにひっくり返されるだろう。

 ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは15200~15500円とみる。前週と同じように好材料が出た銘柄の個別物色や、特定テーマの循環物色が続きそうだ。(編集担当:寺尾淳)