食品の相談件数が急増、10年前の3倍以上に増加

2014年07月08日 12:17

 先月、政府が閣議決定した2014年版の「消費者白書」によると、13年度の全国消費者相談件数は約92万5,000件となり、特にインターネットを用いた通信販売のトラブル増加が目立っている。中でも高齢者の相談件数は5年前と比べると62.8%も増加。注文に身に覚えのない商品が勝手に送りつけられ、代金を請求されるという「送り付け詐欺」商法による被害が多く報告されている。消費者センターや自治体でも高齢者に注意を呼び掛けるなどして対応しているが、販売業者から「支払わないなら訴える」と脅されて、恐怖心から支払いに応じてしまうケースもある。

 送り付け詐欺には健康食品を商品として使用するケースが多く、健康食品販売会社が摘発され、組織的犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の容疑で多数の逮捕者も出ている。このようなことも関連して、今回の消費者白書の「食」に関わる相談件数は、過去10年間で最多の7万8,000件も集まったという。04年度以降は年間2~3万件前後で推移していた食品関連の相談件数だが、12年度には約5万件となり、13年度ではさらにそれから2万件以上も増加したということになる。

 「送り付け詐欺」以外にも、13年には食品関連の事件が相次いで問題となった。一流ホテルやレストランなどで、メニューに表示されているものとはまったく別の食品を使って料理を提供していたことが発覚した事件は、食品表示偽造問題として記憶に新しい。高級ホテルでオーガニック野菜とされていた野菜が通常栽培の野菜だったり、車エビと説明されたものが実際には風味も価格も劣る別の種類のエビだったりと、材料費を抑えて、高い値段で提供するという方法が一部で常態化していたことが明らかとなった。

 また同じく13年には、アクリフーズの群馬工場にて、従業員の男による農薬(マラチオン)混入事件もあった。農薬が混入した冷凍食品を食べ、腹痛や嘔吐などの健康被害が報告され、「食」に関する消費者の不安に大きく影響を及ぼした。人間の三大欲求のひとつである「食」。食品販売に関わるすべての人々のモラルが問われる時代だ。(編集担当:久保田雄城)