「お惣菜」売上が好調、共働き・単身世帯の増加で

2014年06月24日 12:12

 共働きや単身世帯の増加で、国内の惣菜市場が伸びている。矢野経済研究所によると、2012年度の惣菜(中食)の市場規模は、前年度比100.6%の8兆2278億円。ここ数年は景気悪化で低迷していたが、2010年度以降は再び盛り返している。

 販売チャネル別でみると、2012年度はコンビニエンスストアが好調だった。コンビニはこれまで若者や男性向けの商品が多かったが、震災以降は主婦層や高齢者の利用が拡大。各社は品揃えやサービスを拡充させ、より幅広い年齢層に訴えかけるようになった。コンビニではこのところ、パウチに入ったポテトサラダや煮物などの惣菜をよく見かける。こうした惣菜は保存性が高く、消費者からも好評のようだ。これまでコンビニではあまり見かけなかった「20品目の野菜が採れる」などと謳うサラダ系、麺系の惣菜など、女性向けの商品も増えている。総務省統計局の「家計調査」によると、全国で最も「サラダ」の消費金額が多いのは東京23区。働く若い女性の消費が多いのかもしれない。

 コンビニの惣菜拡充戦略に負けじと、スーパー各社は店内調理の惣菜コーナーを拡充。24時間営業の店舗が増えるなど、コンビニとスーパーの垣根は低くなりつつある。割を食っているのは百貨店だ。矢野経済研究所の調査では、百貨店の惣菜売上高は減少傾向。スーパーやコンビニ惣菜の質が向上したことで、「デパ地下」の魅力は薄れつつある。

 今後も高齢化や女性の社会進出などを背景に、単身・共働き世帯は増加していく。家庭で料理をする人は減っていき、惣菜(中食)の利用頻度は高まっていくだろう。共働き率が全国1位の福井県では、調理食品の利用頻度が高い。惣菜など20品目のうち、福井市の消費金額が1位なのは「カツレツ」「やきとり」「天ぷら・フライ」「コロッケ」など6品目にのぼる。共働きが主流の福井では、調理済み食品を上手に活用する世帯が多いといえそうだ。これからは「福井流」が全国に広がっていくかもしれない。(編集担当:北条かや)