9月に原子力規制委員に就任することが決まっている田中知・東大大学院教授が電力事業者の日本原燃から今年3月まで、三菱FBRから今年6月まで報酬を受けていたことに、菅義偉官房長官は8日、「受け取っていた額は少額(50万未満)で、まったく問題ないと承知している」とあきれた認識を示した。額の大きさでなく、関わりこそが問題。
菅官房長官は「田中氏が日本原燃など電力事業者の委員会の委員を務め、それにかかる報酬があったことは承知している」と事実を把握していた。
原子力規制委員会は経済産業省でなく、環境省の外部機関として、政治的にも、業界団体からも完全独立し、科学的根拠のみにより、原発の安全性審査をする機関で、これが守られてこそ国民の信頼を得られるのだが、電力事業者から少額でも報酬を受け、かかわりをもっていた人物が、原子力規制委員会の重要な委員に就任していいのか。国会(衆参)で野党の反対を押し切り選任同意したものの、改めて、政府の原発政策の姿勢に対する不信の声があがりそうだ。
あわせて、民主党が与党時代に決めた原子力規制委員会委員の選考ガイドラインについても、菅官房長官は「前政権のガイドラインは委員候補を選定する際の内規と理解している」と内規程度との認識を示した。
民主党が熟考し作成したガイドラインを使用した場合、田中氏が委員につけない可能性がある。菅官房長官は「今回の選定には(民主党のガイドラインの)趣旨も念頭におきながら、あくまでも法に定められている要件に照らして選考」とした。田中氏の委員就任に対しては原子力規制委員会の中立性、公平性が損なわれると懸念する声は強い。(編集担当:森高龍二)