【日経平均】11円安3日続落でも高値引けで下落感薄い

2014年07月09日 20:20

 8日のNYダウは117ドル安で17000ドルを割り込み、NASDAQ総合指数も60ポイント下落する全面安。高値圏の利益確定売りと4~6月期決算を見極めたい様子見が重なった。バンカメ-2.26%、モルガンスタンレー-1.98%、ゴールドマンサックス-1.71%など金融系も悪かったが、ツイッター-7.01%、リンクトイン-6.25%、フェイスブック-3.88%、アマゾン-2.92%などネット系やモメンタム銘柄に下落が目立つ。9日朝方の為替レートはアメリカの長期金利が低下してドル円が101円台半ば、ユーロ円が138円台前半で、前日よりも円高が進行していた。

 CME先物清算値は15255円。取引時間前に開催国で優勝候補最右翼のブラジルがW杯準決勝でドイツにまさかの1-7の大敗。「世の中、何が起こるかわからない」を再認識した「荒れるSQ週の水曜日」の日経平均は120.09円安の15194.32円で始まり、2分後に15185円まで下げる。アメリカのモメンタム銘柄の軟調がアリババのIPO不安、ソフトバンク<9984>の下落、日経平均の下落と連鎖した。前日の25日移動平均の15198円を割り込むと、さすがにそこはサポートラインだったようで午前9時6分には15200円台を回復してさらに上昇。前日と同じように下値ではすかさず押し目買いが入っていた。

 9時31分に15260円にタッチし、その後も15240~15260円のレンジで底堅く推移。10時20分頃からは一段高で、TOPIXは1270台に乗せて10時37分に日経平均は15290円まで上昇するが長続きしない。中国の6月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が発表され、CPIは+2.3%で5月から0.1ポイント低下し、PPIは-1.1%で5月から0.2ポイント低下。どちらも市場予測を0.1ポイント下回り上海市場も香港市場もマイナスで始まる。11時台は15250円近辺まで下がる時間帯もあったが前引けは15276円だった。

 後場も落ち着いて再開。午後1時すぎまでおおむね15260円近辺で推移していたが、少し下げて15240円を割り込む。それでも1時台後半には反発し15240円台での静かな値動きに。2時台は15270円台に乗せた後、2時41分に15298円と15300円に迫る。前日、前々日とは反対にこの日は大引け直前に上昇をみせ、終値は11.76円安の15302.65円。今週はこれで3日続落したが高値引けの小幅安で終わり15300円台を維持できたため、下落感は薄かった。日中値幅は117円。TOPIXも-4.88の1270.82で1270台を維持した。売買高は20億株、売買代金は1兆6675億円だった。

 値上がり銘柄は372、値下がり銘柄は1333で全体の73%を占めた。上昇セクターは8業種、下落セクターは25業種。プラス上位はゴム製品、空運、食料品、石油・石炭、非鉄金属、情報・通信など。マイナス下位は証券、鉄鋼、鉱業、海運、銀行、その他金融などで金融系の下落が目立っていた。

 日経平均採用225種は値上がり70銘柄、値下がり143銘柄。プラス寄与度1位は終盤プラスに浮上し高値引けしたソフトバンクで+4円、2位は花王<4452>で+2円。マイナス寄与度1位はトヨタ<7203>、2位は京セラ<6971>で、ともに-2円だった。

 メガバンクはバークレイズがレーティングを引き下げたみずほ<8411>が1円安、三菱UFJ<8306>が9円安、三井住友FG<8316>が46円安と全て下落。証券セクターは不振が続き業種別騰落率最下位で、野村HD<8604>は18円安、大和証券G<8601>は13円安。ノンバンクのアイフル<8515>は21円安だったが売買高、売買代金1位の2冠王に返り咲いた。自動車大手はホンダ<7267>は20円高だったが、為替の円高進行を背景にトヨタは69円安、マツダ<7261>は4円安、三菱自動車<7211>は14円安、スズキ<7269>は21円安。電機大手も日立<6501>は2円高だったが、東芝<6502>は5円安、NEC<6701>は3円安、ソニー<6758>は21円安、パナソニック<6752>は13円安。シャープ<6753>は亀山工場で約100億円を投資して中・小型「IGZO」液晶パネルの生産量を2倍に増やすと報じられたが5円安で終えた。

 キヤノン<7751>は3年後をめどに技術的に難しい携帯電話組立ロボットを開発してロボット事業に参入すると報じられ売買代金16位に入り2円高だった。ゴム製品セクターは業種別騰落率トップで、みずほ証券が目標株価を引き上げたブリヂストン<5108>は売買代金15位で59円高。東レ<3402>は炭素繊維事業が引っ張って4~6月期の営業利益が2割増の220億円という業績観測報道が出て7円高。花王は68円高で上場来高値を更新していた。

 良品計画<7453>は120円高。チヨダ<8185>は3~5月期の営業利益が6.6%減だったが三菱UFJ証券が目標株価を引き上げて70円高で値上がり率12位。神奈川県が地盤のドラッグストアのクリエイトSDHD<3148>は5月期の経常利益は8.3%減だったが従来予想を上回り、今期業績見通しの経常利益は10.9%増の105億円で2期ぶりに過去最高益を更新する見通しで35円高。訪問調剤が伸びているという。東証2部の東北のドラッグストア薬王堂<3385>は3~5月期の経常利益が22%増で、7月31日現在の株主に対し1対2の株式分割を実施すると発表して124円高になっていた。