商船三井<9104>は2018年から世界で初めて北極海航路にLNG船を就航させると報じられたが5円安。ヨーロッパへは距離が短くスエズ運河、マラッカ海峡経由に比べ3~4割のコスト削減になるという。地球温暖化で北極の氷が少なくなって航行しやすくなりロシアが盛んに誘致している。
東急不動産HD<3289>は野村證券がレーティングを引き上げ26円高で値上がり率10位。「ハリー・ポッター」人気で年間1200万人が入場し大盛況の大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が、来年夏に東証1部に再上場してパーク増設費用を調達すると報じられた。株価が反応したのが東証2部の櫻島埠頭<9353>で、20円高で年初来高値を更新。大阪港のUSJ隣接地に借地権を有するのがその理由だが、拡張候補地と決まっているわけではない。それでも投資家は大化けの魔法に期待して持っておく。
この日は「燃料電池車・水素ステーション」「格安スマホ・割安通信」「電線」「セルロースナノファイバー」など、前日までストップ高や年初来高値更新が続出しマーケットをにぎわせたテーマ銘柄が揃って下落し、値下がり率ランキングに並んだ。アップル関連銘柄入りして人気が盛り上がったソフトブレーン<4779>も53円安で13日ぶりに下落し値下がり率1位に入っていた。
代わって値上がり率ランキングの上位に入ったのは前期決算、今期決算見通し、業績観測が良かった中・小型株。1位のパル<2726>は3~5月期の売上高が9.2%増、経常利益が29.6%増で過去最高益を更新し一時ストップ高の336円高で年初来高値を更新。3位のハニーズ<2792>は今期の営業利益が30%増、経常利益が45%増益という業績見通しを出し62円高で年初来高値を更新した。4位の乃村工藝社<9716>は3~5月期の売上高が17.2%の大幅増収、経常利益が19.5%増で、3~8月期の経常利益見通しを15.5億円から22.5億円に上方修正すると51円高で年初来高値更新。専門店、ブライダル施設、オフィスなどの受注が好調という。7位のマニー<7730>は9~5月期が31%の経常増益で、230円高で上場来高値を更新した。
新興市場はワイヤレスゲート<9419>に信用規制がかかって560円安になるなど割安通信関連銘柄が一転マイナスになったこともあり、日経ジャスダック平均は0.69%下落、東証マザーズ指数は1.85%下落とふるわなかったが、その中でミクシィ<2121>が165円高でユーグレナ<2931>とともに健闘した。東証2部指数は0.80%下落して続伸は7日でストップしている。
この日の主役は化石燃料に依存しない「バイオ航空燃料」。日経新聞朝刊にボーイング社、JAL<9201>、ANAHD<9202>、東京大学などがバイオ航空燃料の実用化を目指す新たな組織を立ち上げたという記事が出た。JALは50円高、ANAHDは4円高で、どちらも年初来高値を更新し空運セクターは業種別騰落率2位だった。ANAHDは羽田空港の発着枠拡大が寄与し5月の国際線旅客輸送実績がJALを上回ったというニュースもあった。ユーグレナは、バイオ航空燃料で日立やJXHD<5020>傘下のJX日鉱日石エネルギーと共同研究を進めていて57円高。すでにJALとボーイングは09年1月にバイオ航空燃料によるジャンボ機のデモ飛行を成功させており、IHI<7013>はバイオベンチャーと組んで藻からつくる藻類バイオ航空燃料の商業化を目指している。記事では非食用植物や家庭ゴミも原料に挙がっており、ばらと廃物でも飛行機を飛ばせる。(編集担当:寺尾淳)