太陽光発電設備などで発電した電気を電力会社が買い取る「固定価格買取制度」がスタートして、7月で丸2年が経過した。住宅メーカーなども、こぞってこれを薦めた結果、予想以上の拡大をみせている。富士経済の調査によると、2012年度の「創エネ住宅」は、前年度比49.8%増の42.4万戸と大幅な伸びをみせており、その内96%が太陽光発電を設置する住宅であることが分かった。また、年間の一次エネルギー消費量を正味ゼロとするZEHの発売が相次いでいることなどを背景に今後も普及は加速し、2025年度には普及率は23%に上ると予測されている。実に、4戸に1戸は太陽光発電が導入される計算だ。
再生可能エネルギーの普及は望まれていたことではあるが、大きな問題が一つ、持ち上がっている。それは、固定買取制度の買取金額が高額に設定されていることだ。この買取価格設定は、そのまま消費者の電気料金に跳ね返っている。つまり、このままの買い取り価格で普及が加速すれば、電気料金の値上がりも深刻になる。経済産業省の有識者会議でも、経済界の代表者から見直しの声も上がっている。
とはいえ、住宅購入者としては、この買取制度は大きな魅力であるのは確かだ。環境に貢献できる上に、光熱費の節約にもなる。上手くいけば売電で収入も得られるのだから、使えるのなら、使わない手はない。
当然、住宅メーカー側も力を入れている。たとえば、セキスイハイムなどは、10.4kWの大容量ソーラーを搭載した「セキスイハイム スマートパワーステーション」を展開しており、一般的な高断熱住宅と比較して、20年間でなんと約1000万円もの節約になることをうたっている。
また、アキュラホームも、創業35周年と20期連続となる増収を達成したことを機に、環境貢献企業となるべく、太陽光発電搭載率100%を目指すことを公表した。これにあわせ、7月から特別限定商品「太陽を活かす家」を発売したが、この商品の太陽光発電の導入に用意された共同事業を含む 4つのプランが、かなり大胆なことで話題を呼んでいる。
「太陽を活かす家」は、同社が展開する「住みごこちのいい家」に太陽光発電を搭載した特別限定商品。太陽光設備は大量仕入れでコストダウンを実現している。
問題の4つのプランを順に紹介すると、まず、「太陽光共同事業プラン」がある。これはアキュラホームと共同事業という形になっており、住宅オーナーは20年間に渡って屋根を貸すことで、アキュラホームが設備費用を負担する。つまり初期費用0円で20年間太陽光発電の定期収入が受けられるというものだ。2つめのプランは「屋根貸し事業プラン」。一つめとよく似ているが、当初10年間は無償で屋根を貸し、11年目以降20年目まで定期収入が得られる。両プランとも、3kw以上なら何kwでも搭載することが可能で、20年の期間終了後は、太陽光発電設備はアキュラホームからオーナーに無償で譲渡される。
3つめのプランは「全量買取プラン」。発電した電力を全量売電して、売電収入を住宅ローン分に充てようというものだ。アキュラホームの試算では、このプランを利用することで当初20年間の住宅ローン返済が実質0円になることも可能だとか。そして4つめのプランは、余った電力だけを売電するオーソドックスな「余剰買取プラン」だ。
同社では、顧客のライフプランに合わせて選択が可能としているが、他社に比べてかなり大胆なプランであることは間違いない。今回は期間限定ではあるが、「固定価格買取制度」がこのまま継続されるようであれば、このような「共同事業」や「屋根貸し」は住宅購入の際の大きな魅力のひとつとなるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)