世界の平均では“お年寄り”と認識され始める年齢は63歳であったが、日本では67歳から多くの人がお年寄りと思うことがわかった。回答年齢がもっとも高かったイタリアではお年寄りと思われ始める年齢は72歳、反対にもっとも若かった国はインドネシアの51歳で、両国の認識には20歳近い開きがあった。全体に、高齢化の厳しい先進諸国では、お年寄と認識する年齢が高いのに対して、中南米やアフリカ諸国ではより若い年齢の人をお年寄と認識する傾向が明らかになっている。市場調査会社の株式会社カンター・ジャパンが24か国で調査した。
「お年寄りとは何歳からだと思うか」との問いかけに対して、答えた年齢の平均値がもっとも高かったのはイタリアで72.2歳、第2位がロシア(71.2歳)、第3位がフランス(70.1歳)、第4位ドイツ(68.3歳)、第5位日本(67.7歳)と、トップ5は日本以外すべてヨーロッパの国が占めていた。
反対に、ここからがお年寄りと思う年齢がもっとも若かったのは、第24位インドネシアでなんと51.2歳。次は6歳ほど年齢があがって第23位タイ(57.1歳)、第22位メキシコ(57.2歳)、第21位インド(58.2歳)、第21位韓国(58.8歳)となっている。
日本で「高齢者」という言葉を使うのは、一般に65歳以上を差すことからすると、日本の回答平均値が67.7歳というのはある程度、しっくりくる数字かもしれない。
それにしてもトップ3の国々では、70歳以下は高齢者と思わないのだとすると驚きである。
WHOの統計によれば、トップのイタリアの平均寿命は83歳となっており、日本と大きく変わらない。一方で2位のロシアの平均寿命は男性63歳、女性75歳、平均で69歳となっている。男性の寿命63歳というのは先進国の中ではかなり低い方で、同じ寿命はルワンダやセネガルといった紛争地域が並ぶ。平均寿命が69歳に対して、お年寄りは71歳からという考えだとすると、まさに「生涯現役」を地でいっているということか。
これに対してお年寄りと思われる年齢がもっとも若かったインドネシアも、平均寿命を見ると70歳となっており、ロシアと大差はない。だがインドネシアでは、公務員および民間企業のいずれも55、6歳で定年を迎えるシステムとなっており(年金シニアプラン総合研究機構調べ)、多くの人は55歳からリタイア生活に入る。そう考えれば、51歳くらいからお年寄りと考えるのも、まあ妥当なところだろうか。
調査結果ではおおむね欧米先進諸国ではお年寄と思われる年齢が高くなり、アフリカや中南米、東南アジア諸国ではお年寄と思われ始める年齢がより若かった。先進各国はどこもおしよせる高齢化に悲鳴をあげている。多くの国が年金支給開始年齢の段階的な引き上げを検討しており、むろん、日本も例外ではない。20年後には4人に1人が75歳以上の後期高齢者となることを考えると、「67歳でお年寄り」といっていられるのも、今のうちかもしれない。(編集担当:横井楓)