2013年、日本を訪れる外国人観光客が史上初めて1000万人を突破した。円安で旅行の割安感が増しているほか、昨年7月にはタイやマレーシアなどの東南アジア諸国に対し、「訪日ビザ」の査証が緩和された影響も大きい。
訪日外国人客たちの消費意欲は旺盛だ。観光庁が7月31日に公表した「訪日外国人消費動向調査」によると、14年4~6月期の「訪日外国人1人当たりの旅行支出」は14万3942円。前年同期から5.7%増加し、過去最高となった。旅行消費の総額は4874億円で、前年同期から32.6%のプラスと好調だ。
国籍・地域別の消費額をみると、1位は「中国」で1125億円(構成比23.1%)。2位は「台湾」で931億円(同19.1%)、3位が「韓国」で454億円(同9.3%)、4位は「米国」で416億円(同8.5%)、5位が「香港」で327億円(同6.7%)となっている。上位5カ国の消費で、全体の7割弱を占めた。
最も1人当たり支出が多いのは中国人だ。1人当たり20万円台と、2位の米国(16万円)を大きく引き離す。このように消費意欲が旺盛な中国人旅行者数が大幅に増えた(前年比9割増)ために、全体の消費額が底上げされたようだ。
都市部の百貨店では、消費増税が行われた4月以降、停滞する内需を外国人観光客が補っている。日本百貨店協会が公表した6月の売上高は、全体では前年同月比-4.1%だったものの、中国や台湾など、訪日外国人による消費額は39.4%のプラス。売上高は6月として過去最高を記録した。消費に前向きな観光客への期待は大きい。
国土交通省は2003年、「ビジット・ジャパン事業(訪日プロモーション)」を開始。10年目にしてようやく「訪日外国人旅行者1000万人」を達成したが、今度は6年後の2020年に「2000万人の高み」という目標が控えている。「今までとは全く異なる取組みが必要」として、今年4月には、観光庁に初めて外部のマーケティング専門家も参画する「マーケティング戦略本部」ができた。訪日プロモーション事業をますます強化していく方針という。(編集担当:北条かや)