政府は観光立国を目指し、日本の地域の魅力を海外に発信している。地域文化や歴史、特産品などを「日本遺産」としてアピール。農家の宿泊体験を目玉プランとして推進し、多言語に対応したインターネットサイトを特設して、外国人観光客の利用に働きかけている。
政府は、2020年の東京五輪に関連して、観光立国推進に力を入れている。関係行政機関と緊密に連携しながら、総合的な推進を図る方針を示し、オリンピック開催地である東京だけにとどまらず、広く全国に効果を波及させる取り組みを早期から行っていく考えだ。推進計画の検討に伴い、安倍首相は6月17日に、総理大臣官邸で第4回観光立国推進閣僚会議を開催した。
会議で話し合われたのは「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2014(案)」についてだ。安倍首相は、訪日外国人旅行者2,000万人達成を目標に据えながら、インドネシア向けのビザの免除と、フィリピン・ベトナム向けのビザの一層の緩和を行うこと明言した。また、訪日外国人観光客の消費促進のために、20年までに免税店を1万店規模に倍増する予定だ。さらに今年10月をめどに、訪日外国人に対して消費税を全面免除するという考えを示した。地域産業振興や、観光資源の発掘にも積極的に乗り出す意向で、地域の声や若い世代の意見を政策に反映させて行くと述べた。
具体的な取り組みとしては、観光情報提供の拠点となる「道の駅」の整備、地域公共交通機関との連携で外国人観光客が観光地を周遊しやすい環境を作ること、観光アプリを充実させるなどの情報提供サービスの強化、ビッグデータを活用して旅行者のニーズを分析し反映させることも考えられている。また、地域に点在する史跡や伝統芸能などの文化財を「日本遺産」として定め、自治体と連携しながら外国人客誘致に向けて発信していく。
そして、地域の豊かな農山漁村の魅力を積極的にアピールし、農家に宿泊体験するプランを推し進めていく予定だ。歴史や伝統のある棚田や疎水など、日本独自の文化に結び付いた美しい景観や、地域ならではの食や日常生活体験を旅行者に提供する。外国人旅行者を受け入れる農家などには「Japan.Farm Stay(仮)」のシンボルマークを付与し、インターネット上にサイトを設けて、海外に向けて多言語で情報を発信していく。(編集担当:久保田雄城)