「三越銀座店に国際空港型免税店を開設する」との報道、三越伊勢丹では「検討しているが未決事項だ」

2014年08月01日 08:25

Mitsukoshi_Ginza

三越銀座店は昔から「全国区の百貨店」を自認し、全国から銀座に来街者を集客してきた。それがいま、「インターナショナルな顧客に訴求する、国際派百貨店」となっている。

 7月30日付けの一部の大手新聞が「三越銀座店に国際空港型免税店を開設する」と報じた。三越銀座店は昔から「全国区の百貨店」を自認し、全国から銀座に集まる来街者を誘導してきた。

 それが現在、「インターナショナルな顧客に訴求する、国際派百貨店」となっている。
 
 消費増税前の駆け込み需要で、4月の販売額は良くて前年同月比10%減と見込んでいた業界のなかあって、三越銀座店だけは前年同月比1.1%増を記録した。三越伊勢丹ホールディングス(HD)傘下にある9店舗の合計でも、7.9%減と百貨店グループのなかで最も小さな落ち込みだった。

 フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店(15店/建て替え中の松坂屋銀座店を除く)は15.3%減。高島屋(14店)は13.2%減。3月の伸び率が32.3%増と、月次データが公表されるようになった2001年1月以降で最大となった反動が出た。セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武(24店)は11.4%減というなかでの三越伊勢丹HDの快走である。

 プラスに貢献したのは「国際派百貨店」標榜した結果、訪日外国人による免税品の売上が前年同月比93%増と大幅に増えたこと。免税品売上が全体に占める割合は10%程度と、初めて2ケタ台に乗った。

 三越伊勢丹HDは2012年からスイスに本拠を置く免税手続きの世界最大手グローバルブルー社と提携し、伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、銀座三越に免税店を設けた。外国人観光客が多いのは銀座店。2013年に入ると、銀座店の免税品の売上高は前年比2倍のペースで伸びていった。円安基調や国を挙げた訪日観光客増加策に加え、他社に先駆けて取り組んできた外国人客の受け入れ体制が実を結んだ。13年11月から同店は1階正面入り口に「外国語対応カウンター」を新設。英語や中国語を話せるスタッフを配置し対応する。

 今回、報道された一件は、こんな銀座店の状況を睨んで発表となったもの。空港型免税店とは、消費税だけでなく輸入関税や酒税、たばこ税なども免除するという。この出店には日本空港ビルディング、成田国際空港とタッグを組んで運営する。報道では3社が運営のための新会社を近く設立。来年度からの営業を目指す、と具体的だ。

 商品は店頭では渡さず、出国する空港まで運んで、購入者が空港で出国手続き終了後に専用店舗で手渡すという。来日した外国人だけでなく、出国予定の日本人でも購入できるのがポイントだ。

 三越伊勢丹HDの大西洋社長は今回の報道について次ぎのようにコメントした。「本日(7月30日)、一部の報道機関において、「銀座三越に空港型免税店」との報道がなされました。本事業について当社が検討しているのは事実ですが、現時点で正式に決定したものではありません。 開示すべき事実が決定した場合は、適時、適切に公表いたします」(編集担当:吉田恒)