大分県に「バイオマスタウン」? 再生可能エネルギーで地方再生

2014年08月06日 12:12

画像・大分県に「バイオマスタウン」? 再生可能エネルギーで地方再生★

エナリスが再生可能エネルギー発電所の建設に乗り出すことを発表した。エナリスが建設を目指すのは林業・漁業・農業など地元の第1次産業と発電事業を組み合わせた発電所で、その第一弾として建設されるのが大分県佐伯市のバイオマス発電所だ

 再生可能エネルギーで自治体が独自の発電事業を行うことは可能だろうか。7月に大分県佐伯市で開始された事業を見れば、その未来が明るいことがわかるだろう。7月24日、効率的なエネルギー利用を促進するエネルギー流通情報事業を行うエナリス〈6079〉が再生可能エネルギー発電所の建設に乗り出すことを発表した。エナリスが建設を目指すのは林業・漁業・農業など地元の第1次産業と発電事業を組み合わせた発電所で、その第一弾として建設されるのが大分県佐伯市のバイオマス発電所だ。
 
 これまでも、地方自治体や地元企業・市民が主体となってこの再生可能エネルギーによる地域の特性を生かした発電を目指した「ご当地電力」と呼ばれる取り組みが全国で進められてきたが、利益を出すことは難しくソーラーパネルの設置推進などの実施に留まっていた。エナリスが佐伯市で建設することを発表した中規模バイオマス発電所も利益を出しにくい規模であるとされてきたが、同社は地元産業などと連携することによって十分に利益が出せるとしている。エナリスの事業スキームは主に佐伯市内の森林の間伐材などの森林未利用材や同市内の製材工場から出る端材の燃料チップ化、燃料チップによるバイオマス発電、発電時の余熱を利用したウナギの養殖事業といった3つの事業で構築されている。同市は農業・林業・漁業といった第1次産業がいずれも盛んな地域であるため、その資源活用により利益を生み出す計画だ。

 エナリスは「農林漁村再生可能エネルギープロジェクト“佐伯モデル”」の全国的な普及を目指すと意気込んでおり、この事業が再生可能エネルギーの新たな活用の選択肢を多くの自治体に与える可能性も十分にある。発電所の建設地に選ばれた佐伯市はかねてより「バイオマスタウン構想」を掲げてきた。今回のエナリスの参入でその構想が次のステップへと進んだことは明らかだ。発電方法が多様化する中で自ら率先してエネルギーの確保を目指す自治体が活性化していくという同市のようなこれまでの資源を生かした発電が事業として成立するようになれば、そのような社会も夢ではないだろう。(編集担当:久保田雄城)