クラウドソーシングサービス、18年度には1800億円に成長

2014年08月07日 07:13

 インターネットを介して、企業などが個人に仕事を委託する「クラウドソーシング」を利用する人が増えている。矢野経済研究所の試算によると、2013年度のクラウドソーシングサービス市場は、前年度比101%の215億円(仕事依頼金額ベース)。業者の新規参入が相次いでいることなどから、18年度には現在の8倍以上、規模にして1820億円の仕事が「クラウドソーシング」でやり取りされると予測される。

 大手クラウドソーシングサービスを運営する「ランサーズ」には、仕事を依頼したい「クライアント」と、それを請け負う依頼人(ランサー)がそれぞれ登録されている。登録は無料で、仕事が成立して報酬が支払われると、依頼人は報酬額の5~20%を「システム利用手数料」としてサイトに納める仕組みだ。テキスト入力やアンケートなど、単純な作業を複数の依頼人が同時に作業する方式から、依頼人がロゴやイラスト、ネーミングなどをクライアントに提案し、当選すれば仕事がもらえる「コンペ方式」などがある。
 
 矢野経済研究所では今後、ウェブコンテンツの「翻訳系」のニーズが高まると予測する。GoogleやFaceBookなどの大型ウェブサービスが急速に普及し、英語圏以外の人々もインターネットにつながるようになっているからだ。翻訳サービスへのニーズは、急激に高まっている。

 2014年度には、クラウドソーシングサービスの業界団体である「一般社団法人クラウドソーシング協会」が設立された。業界全体で認知度向上や利用促進への取り組みが進んでいる。

 一方、参入企業数の増加により、価格競争は厳しくなっている。記事作成など「ライティング・事務系」の分野では、ますます発注単価の下落が進む可能性もある。顧客や登録ワーカーを、思うように増やせない事業者も出てくるかもしれない。このようなマイナス要因はあるものの、今後も「クラウドソーシングサービス」は着実にその市場を拡大していくだろう。(編集担当:北条かや)