モバゲーなどで知られるゲームとSNS 大手のDeNAが8月から個人向け遺伝子検査サービスを開始する。遺伝子検査キットの精度には疑問の声も上がっている。アメリカの「23andMe(23アンドミー)」は一部の利用者が集団訴訟を起こし、大きく注目された。
モバゲーなどで知られるゲームとSNS 大手のDeNA<2432>が8月から個人向け遺伝子検査サービスを開始する。東京大学医科学研究所との共同開発により、事業を展開するとしている。DeNAにとってはまったく新しい分野への参入となるが、これまで主力だったゲーム事業が頭打ちとなり、こうした現状を打破したいという意図もあるようだ。
遺伝子検査とは、唾液や毛髪などからDNAを採取し、遺伝子が人に与える影響や作用を読みとることで、がんや糖尿病、高血圧などの病気のリスクを測定することができる。DeNAが行う事業「MYCODE(マイコード)」では税別9,800円で35項目の検査が可能だ。病気のリスクを調べることをはじめ、肥満や肌質、アルコールへの耐性など、日常生活にも役立つような情報を利用者に提供する。
検査は申し込みからサンプル採取、結果の確認まですべて自宅に居ながらにして行える。ネットからの申し込みに応じて、自宅へ郵送される専用キットを用いて唾液を採取。指定された封筒に入れて送り返せば、約2週間後には結果が自宅へ届けられる。コースは3つあり、検査100項目で税別1万9,800円、最大283項目では税別2万9,800円となる。対象者は成人に限られ、有料でカウンセリングも受け付けている。
しかし、遺伝子検査キットの精度には疑問の声も上がっている。アメリカの「23andMe(23アンドミー)」は2007年から遺伝子検査の事業を行い、アメリカ国内外で50万人が利用する規模にまで拡大していた。ところが13年11月、米食品医薬品局(FDA)が判定結果の精度に問題があるとして、検査キット販売サービスの業務停止を命令。一部の利用者が23andMeに対し集団訴訟を起こすまでに発展し、大きな問題として注目された。
安価に行える遺伝子検査は将来の病気のリスクを減らすことには有効かもしれないが、その一方で誤った判定が下される可能性もあるということを十分認識しておく必要がある。また遺伝子異常を知った利用者の中には精神的動揺を受ける人もおり、必ずしも必要ではなかった予防手術を受けるなどした事例も起こっている。格安検査キットが出回り、誰でも遺伝子検査を簡単に利用できるようになる今、検査の精度と病気の予測力を向上させていくことが急務の課題となるようだ。(編集担当:久保田雄城)