その事業規模が大きくなれば大きくなるほど、企業としての社会的信用が重要となってくる。そうした信用を失うことをかえりみず、目先の利益ばかりを追求してしまうと、後で大きな「しっぺ返し」を被ることもある。今回のタカラトミー<7867>の発表などが、その例だろう。
8日、タカラトミーは2015年3月期の連結業績予想に関して、最終損益を従来の予想である10億円の黒字から、3億円の赤字に下方修正するとの発表を行った。最終赤字は2期ぶりのこととなる。これは、広告代理店業務を手がける子会社が架空取引により利益を水増ししていたことに関連する損失と、アメリカの子会社が行っていた、法令に反する営業活動の訴訟の和解金支払いなどにより13億円の特別損失を計上するためだ。
タカラトミーが行った調査によれば、広告代理業務を手がける子会社「タカラトミーエンタメディア」は12年4月から14年6月にわたり、約250回の架空の発注や支払いを繰り返し行っていた。それにより売上高が19億円、利益が1億円水増しされており、過去2期分の有価証券報告書も訂正された。
この水増しを受けてタカラトミーは、14年3月期の最終損益を4億6900万円の黒字から2億3200万円に訂正。またその経営責任をとって、富山幹太郎社長の報酬を3ヶ月間20%削減、そして副社長ら取締役3人の報酬を10%削減するとしている。
そしてアメリカの子会社が行っていた、FAXを使用した営業活動が「一方的な送りつけ行為」を禁じる法令に反するとして、営業先から起こされていた集団訴訟については、約10億円を支払うことで和解が成立する運びとなった。
タカラトミーは子会社による架空取引について、「エンタメディアにおいて、経営管理層も含めた全社員に対して法令及び社内規程の遵守を含めたコンプライアンス意識の徹底を図る」としている。
子会社が行ったこととはいえ、今回の問題がタカラトミーに及ぼす影響は甚大だ。失われた信頼を回復するためには、上記のコメントにもあるように、これまで以上にコンプライアンス意識を強化する必要があるだろう。(編集担当:滝川幸平)