タカタ、リコール費用が響き最終損益が赤字に

2014年08月11日 07:23

 自動車は便利な移動手段であると同時に、乗る人、また周りの人の生命を危険にさらす可能性のある乗り物である。それゆえにその安全性は重要視され、各メーカーともにそれが確保されないとなるとリコールが行われる。そして2013年4月以降、エアバッグやチャイルドシートなどの自動車部品を製造するタカタ<7312>のエアバッグに不具合が見つかったとして、トヨタ自動車<7203>やホンダ<7267>などが相次いでリコールを行い、その費用を特別損失として計上した影響を受けて、タカタの14年4~6月期の連結決算の最終損益が386億円の赤字となったことがわかった。

 7日、タカタが14年4~6月期の連結決算を発表。それによると、売上高は前年同期比16%アップの1510億円、営業利益は前年同期比14%アップの76億円、最終損益は前期の42億円黒字に対して、386億円の赤字であった。

 また同日に発表された15年3月期通期の連結業績予想でも、最終損益が前期の111億円黒字に対して、240億円の赤字になるとの見通しを示した。5月に発表された160億円の黒字から、一転して赤字に下方修正された。しかし売上高については従来の予想であった5600億円から前期比3%アップの5750億円に、営業利益も従来の予想であった250億円から前期比3%アップの270億円にそれぞれ上方修正を行った。アメリカでの景気回復により自動車の生産台数や販売台数が増加したことや、コスト削減などの影響が寄与した模様。

 今回のタカタの赤字転落、また業績予想の下方修正の原因ともなったリコール問題だが、アメリカの子会社の製造したエアバッグで緊急時に膨らませるインフレーターに不具合が発見され、トヨタ自動車やホンダ、またドイツのBMWやアメリカのゼネラル・モーターズ(GM)などの海外メーカーも合わせると、そのリコール台数は800万台を超える見通しだ。こうした問題を受けてタカタは、7月に14年4~6月期にリコール費用として約450億円の特別損失を計上する予定との発表を行っていた。

 便利な乗り物であるがゆえに、多くの人たちがそれを運転する自動車。だからこそ、その安全性の確保には細心の注意を払う必要があり、またそれは自動車製造に関わるすべての企業の責務だろう。タカタの赤字転落の影響は大きいだろうが、しかしチャイルドシートなど子供の安全を守る製品も製造しているだけに、これをきっかけにさらなる安全性の確保に努めてもらいたいと思う。(編集担当:滝川幸平)