子供の貧困率の悪化を前に

2014年08月14日 12:34

 厚生労働省が7月15日にまとめた国民生活基礎調査で、平均所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の子供の割合を示す「子供の貧困率」が、2012年に16.3%と過去最悪であったことが明らかになった。母子世帯が増えていて、働く母親の多くが非正規雇用であることも影響しているとされている。

 「子どもの貧困率」とは世帯の所得が平均的な年収の半分(約122万円)を下回る世帯で暮らす18歳未満の子どもの割合とされている。「貧困」という言葉を聞くと食うにも困っていてというイメージを持ってしまうが、そうではない。社会において当たり前と思われていることを(たとえば携帯電話を使うことなども含まれる)するのが困難となる生活水準がおくれない状態のことだ。ちなみに、日本は09年時点で15.7%と経済協力開発機構(OECD)加盟34か国中、10番目に悪い数値である。

 内閣府の「平成25年版子ども・若者白書」で明らかになっているように、子どもの貧困率は上昇傾向にあるとされている。大人ひとりで子どもを養育している家庭、特に母子家庭は経済的に困窮していると指摘されている。また、経済的理由によって就学困難と認められ、就学援助(学用品費を補助してもらう援助のこと)を受けている小学生・中学生はこの10年間で年々増加しており,10年には約155万人、就学援助率は15.3%である。

 こうした状況を受けて、政府は、貧しい家庭に生まれた子供の教育や生活を支援するため、「子供の貧困対策に関する大綱」の策定を進める為に検討を重ねている。社会生活に必要なものが欠乏した状態におかれると、子供の成長や発達に様々な影響があるという問題意識から、貧しい家庭に生まれ育った子供が成長後に自らも貧困に陥る「貧困の世代間連鎖」を断ち切ることを目標に掲げている模様だ。この大綱を具体的に進めるためには、共通理解をし、もっと議論を進めていくことが望まれる。(編集担当:久保田雄城)